宮城のニュース

<宮城知事選>懐深い県政へ進化と変革を

 【解説】宮城県知事選は、現職の村井嘉浩氏(57)が圧倒的な大差で当選を飾り、前回(2013年)に続く新人候補との一騎打ちを制した。4選は、5期(1969〜89年)務めた故山本壮一郎氏以来となる。有権者は村井氏の安定感を選択し、県政の継続を是認した。
 3期12年に及ぶ経済分野の実績と、東日本大震災後の復旧復興を率いるリーダーシップは評価されるべきだろう。ただ、圧倒的な得票の内実は、敵失と偶然の産物と言わざるを得ない。
 昨年夏の参院選宮城選挙区、今年7月の仙台市長選で勝利した野党共闘は、対立候補の擁立段階でもたついた。中心の民進党が迷走し、自主投票を決めるなど一枚岩にはほど遠かった。
 前哨戦が盛り上がらず、過去最低の30%台前半に落ち込むとの懸念の声すらあった投票率は、急転直下の衆院選と同日選になったことで状況が一変。国政論戦に県政課題が埋没し、ダブル選で投票率だけは急騰するという現職にとってはこれ以上ない展開になった。
 市長選で自民党系の候補擁立に積極関与した村井氏は、衆院選でも自民、公明の与党応援に奔走し、国政対決の構図に身を投じた。これまで表向きは堅持していた「県民党」を引っ込めた形で、県政の分断を招きかねない先行きが危惧される。
 自動車産業の集積などを進めた「富県戦略」、震災後の「創造的復興」。経済偏重と目新しい事業を追う県政運営の姿勢は、やや一本調子に陥りつつある。
 地道な取り組みが必要な地域政策や福祉、教育などへの手当てが遅れる弊害も招いた。仙台圏以外の衰退は顕著で、介護人材の不足や学力などの指標も低迷が続く。民度の向上につながっているとは言い難い。
 3期目は広域防災拠点の整備推進、石巻市大川小津波訴訟での控訴など意思決定過程の粗さと、独断専行の危うさも見え隠れした。4期目は賛否が真っ二つに割れる東北電力女川原発2号機の再稼働を巡り、判断を迫られる可能性が高い。
 多様な異論を包み込み、懐の深い県政運営へのシフトチェンジが求められる。得票におごることなく、村井県政の進化に期待する有権者のメッセージと受け止めるべきだ。(報道部・元柏和幸)


2017年10月23日月曜日


先頭に戻る