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<宮城知事選>82万票の深層(上)戦略/同日選を最大限活用

勝利を祝う支援者の出迎えに、手を上げて喜びを爆発させる村井氏(中央)=22日午後8時ごろ、仙台市宮城野区の事務所

 衆院選と初の同日選になった知事選(22日投開票)は、無所属現職の村井嘉浩氏(57)が県政史上、最多となる82万票を獲得し、無所属新人の多々良哲氏(59)=共産推薦=を圧倒した。得票率81.7%の民意を原動力に、村井県政は4期目へ歩み出す。「1強」の足場を固めた17日間の戦いを振り返りながら、県政運営への余波を探った。(知事選取材班)

 描いたシナリオが当たり、会心の勝利に酔った。
 22日午後8時、仙台市宮城野区の事務所。テレビから当選確実の速報が流れた1分後、村井氏は示し合わせたように姿を現した。「感無量だ。こんなに早く当確が出ると夢にも思わなかった」と話し、満面の笑みで支持者と握手した。
 当選とは別に、陣営は「本間超え」を大きな目標に据えた。1993年知事選で、本間俊太郎氏が得た過去最多の64万7920票の更新を意味する。再選を果たした2009年に186票差まで迫ったが、厚い壁は破れなかった。
 村井氏は今回、衆院選などの同日選を最大限活用する戦略を描いた。自民、公明両党の候補者の街頭演説や、個人演説会の応援に連日奔走。「県民党」の看板は脇に置いて政権与党との親密さを強調し、有権者への露出を繰り返した。

<支援をアピール>
 19日には「兄貴」と慕い、宮城1区で4選を飾った自民前議員土井亨氏(59)の個人演説会に赴き、「土井さんがいないと復興が進まない」と持ち上げた。「私の事は一言も言わない。公選法違反とたたかれる」と会場の笑いを誘い、暗に支援をアピールした。
 対立候補の擁立過程で野党の結束が乱れ、事実上の信任投票となった。衆院選による関心の高まりと、安定した戦いぶりをみせた自民候補との連動という追い風に乗り、最多得票の塗り替えに死角はなくなった。
 投開票から一夜明けた23日午前の定例記者会見。本間氏の記録を17万7540票上回る82万5460票の確定得票数に、村井氏は「心から感謝する。期待の大きさを感じる」と神妙な表情を崩さなかった。
 「70万票台」(陣営)との予測を上回る完勝に、自民会派の中堅県議は「信じられない票数だ」と驚きを隠さない。支援する県議の会の安藤俊威会長は「得票数は衆院選効果があるが、多選は有権者の選択に関係ないことが証明された」と選挙戦を総括した。
 多々良氏の陣営は、市民団体と緩やかな野党の連携に支持拡大の活路を求めたが、実を結ばなかった。「運動がかみ合っていないのは確か」。劣勢が報じられた選挙戦終盤、陣営の1人がため息をついた。

<結束演出できず>
 象徴的だったのは、青葉区中心部で19日に開いた大規模集会。衆院宮城1区の立憲民主党候補と、2区の民進系無所属候補と並び、結束を演出した。陣営は1000人規模の動員を見込んだが、集まったのは約400人。「共産アレルギー」が強い民進支持労組などは姿を見せなかった。
 18万4776票を集めたが、結果は約64万票差の大敗。村井氏の強さを見せつけられた鹿野文永選対本部長は「首長選は現職が有利。新人は2倍の力が必要だった」と肩を落とした。


2017年10月24日火曜日


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