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<宮城知事選>82万票の深層(下)余波/与野党、慢心に警戒感

落選確実となり、支持者と言葉を交わす多々良氏(左)。現職批判票を集めたが、「1強」の壁は厚かった=22日午後9時ごろ、仙台市青葉区の事務所

 「慢心せず、さらに謙虚になる。くれぐれも議会を大切にしてほしい」
 22日投開票の知事選で過去最多得票を記録し、4選を飾った村井嘉浩氏(57)は23日夕、県庁講堂で職員約500人に訓示した。

<「ワンマン」批判>
 仙台市長選で候補者擁立に積極関与した政治姿勢、広域防災拠点の整備、石巻市大川小津波訴訟の控訴を決めた専決処分…。村井氏を巡っては選挙前、与野党を問わず、県議会で「傲慢(ごうまん)」「ワンマン」などと批判や不満が漂っていた。
 村井氏が出馬表明した県議会6月定例会の一般質問で、自民党議員が知事の「おごり」に触れ、異例の苦言を表明。8月下旬の自民会派総会では村井氏への選挙支援を巡り、「知事から何も話を聞いていない」などと異論が噴出した。
 「自民、公明が全力で応援してくれるので安心して戦える」。県議会の半数を超える自民、公明両会派などの議員35人から支援を取り付けた村井氏は、選挙戦で何度も与党を持ち上げ、配慮した。
 県議会との関係改善を図ろうとする知事の言動に、自民のベテラン県議は「村井氏は5選を見据えている」と推し量る。一方、別の自民県議は「これだけ圧倒的な票を獲得すれば、どこかに慢心が出かねない」と先行きを警戒する。

<刷新訴え18万票>
 「安倍政治の宮城版が村井県政だ。トップダウンの県政を転換する」。村井氏に挑んだ新人多々良哲氏(59)=共産推薦=は、自公政権の「安倍1強」になぞらえ、刷新を訴えた。
 多々良氏は18万4776票を獲得し、得票率は18.3%を占めた。知事選に立った共産推薦候補としては平成以降の最多得票で、得票率も一番高かった。
 共産県議団の遠藤いく子団長は「村井氏が100パーセント信任されたわけではない」と強調。社民党県連の岸田清実代表は「独善的な姿勢を改めてほしい」、民進党系会派「みやぎ県民の声」の藤原範典会長は「少数意見を聞く度量を持つべきだ」と、4期目の県政運営にくぎを刺す。
 衆院選と同日選による投票率上昇の追い風を受け、82万票という民意の束を手にした村井氏。県政界に新たな歴史を刻んだ「ガリバー」の一挙手一投足は、これまで以上に影響力を帯びるとみられる。
 「傲慢、ワンマンに映る部分は反省するが、優柔不断になってはいけない」。村井氏は当選から一夜明けた23日、河北新報社のインタビューに答え、独自のスタイルを貫く考えをにじませた。
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 衆院選と初の同日選になった知事選(22日投開票)は、無所属現職の村井嘉浩氏(57)が県政史上、最多となる82万票を獲得し、無所属新人の多々良哲氏(59)=共産推薦=を圧倒した。得票率81.7%の民意を原動力に、村井県政は4期目へ歩み出す。「1強」の足場を固めた17日間の戦いを振り返りながら、県政運営への余波を探った。(知事選取材班)


2017年10月25日水曜日


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