宮城のニュース

<2017梨田楽天>夢届かず(上)二つの転機/起用に誤算 失速招く

CSファイナルステージ第3戦、中村晃(後方)に2ランを浴びた福山。流れが変わった瞬間だった=20日、ヤフオクドーム
パ・リーグ6チーム貯金の推移

 「東北・夢・再び」を掲げ、2013年以来の王座奪還を期した梨田監督2年目の東北楽天は今季前半戦、首位で折り返すほどの快進撃を見せた。だが夏場から急失速して3位に。4季ぶりに進出したクライマックスシリーズ(CS)はファイナルステージまで駒を進め、王者ソフトバンクに2連勝で先手を取ったものの、3連敗で敗退した。東北を歓喜させる夢は、現実のものとなりかけながらついえた。強さと弱さが紙一重だったこの一年の戦いを振り返り、常勝軍団を目指すチームの収穫と課題を探る。

<果敢な継投>
 監督采配で最も難しいとされるのが勝負どころの継投だ。リーグ戦2位西武とのCSファーストステージ第1戦に敗れ、窮地に追い込まれてからの梨田監督の継投はシーズン中にはほぼ見られなかった打ち手の早さで、さえ渡った。「負ければ終わり。展開次第でどんどん投手をつぎ込む」。追う立場の挑戦者として、迷いは一切なかった。
 顕著だったのが第3戦。2−0で迎えた五回、1点差に詰め寄られ、なおもリーグ首位打者秋山(八戸大出)を迎えた2死三塁の場面だった。ここまで好投し勝利投手の権利を目前にした美馬を交代。左打者キラーとして左腕高梨を投入する火消し策がはまると、その後も4投手を惜しまずつぎ込み、逃げ切った。
 ファイナルステージは、首位ソフトバンクに1勝のアドバンテージがある劣勢からの開幕。ここでも勝負師の本領を見せつけた。
 第1戦は六回にソロ被弾したが、6回89球1失点と好投していた塩見を崩される前に交代。3−1の七回以降4投手をつないで逃げ切った。第2戦は1−1の六回1死二塁で先発辛島を宋家豪に代えて、内川、松田と長打のある2人を三振に打ち取らせてしのぎ、続く七回に女房役嶋の勝ち越し打を呼んだ。

<余力を残す>
 東北楽天が2連勝で優勢だった潮目が一変したのが第3戦。エース則本を先発に立て一気に日本シリーズ進出への王手を狙った。八回に差し掛かる時、指揮官のタクトにぶれが出た。
 五回にアマダーの2ランで5−5と追い付いた流れのまま迎えた八回。勝ちパターンの福山を2番手に送り出した。積極的な継投にも見えたが、余力を残しての降板に野球解説者の佐々木信行氏は「もし第6戦までもつれた場合に、則本を救援として温存しておきたいという欲が先にきた」と推察する。結果は、福山が2死一塁から中村晃に痛恨の2ランを喫して決勝点を許した。
 則本は三回までに5失点するも、四回以降はゼロで封じ、七回は1〜3番を三者三振だった。108球で迎える八回、最初に対する内川には三回に3ランを浴びており、続投の可否は分かれるところだった。リードしている展開なら左の中村晃に対して、高梨にスイッチするケースではあった。「同点だったので、後手に回ったかもしれない」。梨田監督の頭の中を、さまざまな考えが巡った。

<今しかない>
 振り返ればリーグ戦、首位陥落した8月15日の西武戦でも禍根を残す起用があった。池山チーフコーチが「負の連鎖が始まった試合」と話す通り、その後は6連敗、10連敗で3位に落ちた。手堅く勝ちたい3連戦の初戦、既に1軍合流していたけが明けの主砲ペゲーロを出さず、未知数の新外国人コラレスを先発登板させ、打ち合いの乱戦を落とした。
 「新外国人を使うならペゲーロが戻る直前の今しかない」(梨田監督)という出来心のために、自ら急降下にかじを切った。(金野正之)


2017年10月24日火曜日


先頭に戻る