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<2017梨田楽天>夢届かず(下)一発の魔力/小技多用へ転換遅く

終盤戦、接戦の場面でスクイズを決める嶋=9月28日、札幌ドーム
前半戦、「脅威の2番」として打線を引っ張ったペゲーロ=5月27日、コボパ宮城

 「東北・夢・再び」を掲げ、2013年以来の王座奪還を期した梨田監督2年目の東北楽天は今季前半戦、首位で折り返すほどの快進撃を見せた。だが夏場から急失速して3位に。4季ぶりに進出したクライマックスシリーズ(CS)はファイナルステージまで駒を進め、王者ソフトバンクに2連勝で先手を取ったものの、3連敗で敗退した。東北を歓喜させる夢は、現実のものとなりかけながらついえた。強さと弱さが紙一重だったこの一年の戦いを振り返り、常勝軍団を目指すチームの収穫と課題を探る。

<脅威の2番>
 本塁打は野球の華。それを体現した試合だった。5月28日、コボパ宮城での西武戦。一回ペゲーロの先制ソロを皮切りに二回は茂木の生え抜き初2桁となる10号2ラン、終盤はアマダーのソロも飛び出し、13点を奪う快勝。両リーグを通じて最速の30勝目を挙げた。
 打線の肝は「脅威の2番打者」だった。日本球界ではつなぎ役が務める2番に長距離打者のペゲーロを置く起用が当たり、1番茂木と共に打線をけん引した。「金子から連打を打つのは難しい」(池山チーフコーチ)と、オリックスとの開幕戦で試した3番ウィーラー、4番アマダーと2〜4番に助っ人3人を並べる重量打線も奏功。相手投手には大きなプレッシャーとなった。
 この結果、昨季リーグ5位の544点だったチーム総得点は3位の585と41点増加。本塁打は球団最多記録111本(2007年)を大幅に更新する135本をマークした。長打力を前面に生かす作戦は日本人にも波及し、茂木(17本)に加え、島内(14本)も2桁アーチを記録した。

<強攻策不発>
 だが7月下旬にペゲーロが負傷で離脱し、一発頼みの打線が行き詰まった後、機動力野球への切り替えはなかなか進まなかった。
 象徴的だったのは、今季ワーストの10連敗の真っただ中だった9月1日のソフトバンク戦。先頭打者を4度出しながらも、強攻策で併殺に倒れるなど先発岸を援護できず、結果として0−2で完封負けを喫した。
 この頃、無死の走者を進められず凡退する試合が目立ち、選手からも「あそこはバントでは」と采配を疑問視する声が上がった。
 ようやく小技を含めた機動力を使い出したのは、クライマックスシリーズ(CS)を見据えた9月以降。「外国人の一発が出る可能性が低い以上、1点を取りに行く野球をする」(池山チーフコーチ)と、エンドランやスクイズも積極的に仕掛け、CSでは生かされたが、遅きに失した。

<足生かせず>
 球団によると、シーズン中のエンドラン(ファウル含まず)は回数、成功率ともリーグワースト。走者を一塁に置いた時、右方向への単打で走者を三塁以降に進めた割合も低く、上位のソフトバンクと西武が5割台だったのに対し、東北楽天は3割台にとどまった。次の塁を狙う意識、走力ともに弱かった。
 「バントやエンドラン、スクイズなど細かいことを普段からやっておくべきだった」と梨田監督もシーズンの反省点に挙げた。チームトップタイの7盗塁を決めた田中や、オコエら足のある選手はいるだけに、今季の長打力に機動力が加われば、来季こそは「夢」が現実のものとなるに違いない。(浦響子)


2017年10月26日木曜日


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