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<週刊せんだい>今も息づく昭和の風景(4)歌謡曲 時代の空気分かち合う

時計の針を戻したような「昭和歌謡酒場 プレイバック」の店内。小林さん(左)との談義も楽しい
「昭和ナイト」にお目見えした顔はめ看板。モチーフは人気歌番組「ザ・ベストテン」(右)と、ピンク・レディー
フレッシュな歌声が流れる「代々木ミルクホール仙台分店」のジュークボックス

 駄菓子屋、ドーナツ盤、スーパーカーにオカルト本…。平成の世にありながら、街のあちこちで「昭和」の香り漂うお店や商品、出版物を多く見掛けます。
 10月の「週刊せんだい」のテーマは「今も息づく昭和の風景」。40代後半以上のおじさん、おばさん世代が少年少女だった1960年代後半から80年代にスポットを当てます。当時人気だった遊びや、話題となった文化風俗を振り返りながら、今も人々を魅了する昭和の魅力について考えます。

◎酒場に熱い視線 世代超え楽しむ一体感

<日常離れ活力源に>
 時間旅行のツアーはいかが いかがなもの?−。
 1977年秋に18歳でデビュー、一躍スターに駆け上った原田真二が歌う「タイム・トラベル」の一節。40年がたった今、仙台市内では70、80年代の歌謡曲ワールドを満喫できる酒場に熱い視線が注がれる。
 青葉区の国分町通、築50年ほどのビル地下にある「昭和歌謡酒場 プレイバック」。懐かしいあの歌この歌が店内に流れる。壁と天井一面にシングル盤ジャケットがびっしり。
 客層の中心は40代後半から50代前半。インターネットで検索してたどり着く人も増えてきた。店主の小林修子さん(54)は「日常をいったん離れ、往時の雰囲気にとことん浸ってほしいですね」とほほ笑む。
 開店は2010年11月。音楽プロモーターの傍ら、店のカウンターで客と昭和歌謡の魅力を熱く語らった夫の英樹さんが15年9月に死去。修子さんが遺志を継いでいる。
 カウンターの女性客たちが「昭和歌謡トーク」で盛り上がる。高橋さやかさん(50)は「覚えやすく気軽に口ずさめる」と特長を話す。「1番から2番、3番へと、歌詞がストーリー仕立てなのは素晴らしい」と言うのは武田恵美子さん(50)。
 2人は、昭和をこよなく愛する有志による「昭和ナイターズ」のメンバー。多彩な切り口で振り返る企画「昭和ナイト」を青葉区立町の「カッフェ トムテ」で15年から年1、2回催す。「時代の空気を分かち合う至福の時。あすへの活力です」と高橋さん。

<若者に未知の魅力>
 JR仙台駅近くのビル2階の「代々木ミルクホール仙台分店」(青葉区中央)も、昭和歌謡ファンで連日にぎわう。ジュークボックスには、アイドル50組のデビュー曲。スタッフ富永沙里さん(27)は、リクエストの上位に「青い珊瑚礁(さんごしょう)」(松田聖子)「セーラー服を脱がさないで」(おニャン子クラブ)「仮面舞踏会」(少年隊)を挙げる。
 12月でオープン6周年。「隣の席同士で手拍子や掛け声が始まり一体感が生まれます」と富永さん。「わたしの彼は左きき」(麻丘めぐみ)「17才」(南沙織)にちなむカクテルや、芸能雑誌「明星」「平凡」の展示も興趣をかき立てる。
 生まれるはるか前のヒットソングを「新曲」のように楽しむ若者もいる。初来店した大学3年の斎田涼裕(あつひろ)さん(21)=太白区=は、カラオケで昭和歌謡を熱唱するという。「昔は自分にとって未知の世界。探検にワクワクします」と目を輝かせる。

◆◆懐古モノがたり

◎ジュリー/色あせぬ憧れのスター

 部屋に入るや目に飛び込んでくるのは、白のポリス帽を斜にかぶり、くわえたばこで陶酔する若い男。1970年代に大ヒット曲を次々放つジュリーこと沢田研二が「憎みきれないろくでなし」(77年)をリリースした時のパネル写真だ。
 持ち主は、仙台を拠点に「ジュリーのそっくりさん」として活動する沢田研史さん(63)=仙台市若林区=。LPレコードや写真集、ビデオなどのジュリーコレクションがずらり並ぶ。常に最高の舞台にしたいと、本人の所作や表情を追究する日々。「曲を聴くたび、新たに何か気付きがあります。僕にとってバイブルでもあるんです」と語る。
 中学時代、グループサウンズ「ザ・タイガース」のリードボーカルだったジュリーにほれ込んだ。「あんなふうになりたい」。会社勤めの傍ら、新譜を買い求め、アマチュアバンドでジュリーを歌ってきた。
 退職後の2010年夏、デビューを果たす。「ライブドーム スターダスト」(青葉区本町)での月例ライブをはじめ、東北や首都圏で年間約120本のステージをこなす。
 地域FM番組「あなたに今夜はワインをふりかけ」(エフエムたいはく、毎週土曜午後11時半)では軽妙なトークを展開する。「ジュリーは歌がうまい、曲がいい、格好いい。憧れのスターは今も色あせません」

コレクションを披露する沢田研史さん(左)。手にするポスターは自身のライブ姿だ

関連ページ: 宮城 文化・暮らし

2017年10月26日木曜日


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