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<衆院選東北>希望「自滅」渦巻く怨嗟 議席岩手1区のみ

山形2区での落選が決まり、支持者に頭を下げる近藤氏=22日午後11時40分ごろ、米沢市の事務所

 第48回衆院選は自民、公明の与党が改憲発議に必要な3分の2を超える圧勝を収め、幕を下ろした。東北23選挙区は、政権批判をかわした自民が18議席を獲得。共闘のもやいがほどけた野党系は5議席に沈んだ。各地で繰り広げられた短期決戦の軌跡をたどる。(衆院選取材班)

◎激流劇流(下)混迷の果てに

 希望は打ち砕かれた。参戦を見送り都庁にとどまった「敗軍の将」に、各地で怨嗟(えんさ)が渦巻く。
 「一度、解党した方がよろしいかと思う」
 22日未明、衆院選山形2区で敗れた希望の党前議員近藤洋介(52)は比例復活の望みも絶たれ、米沢市の事務所で解党論をぶちまけた。
 昨夏の参院選で民進党県連会長として野党共闘を主導した近藤。民進と希望の合流で今回は希望から立ち、5回連続で堅持した議席を失った。
 「排除すれば巨大与党に立ち向かう力を結集できない。あの発想では党首の資格がない」。近藤は、代表の東京都知事小池百合子を痛烈に批判した。
 憲法9条改正と安全保障関連法容認で民進出身者に踏み絵を迫った小池。「排除の論理」は立憲民主党を誕生させ、党勢失速の引き金となった。

<悔しさにじむ>
 青森1区の希望前議員升田世喜男(60)は22日夜、青森市の事務所で一人、テレビに視線を向けた。画面にはパリ滞在中の小池。小首をかしげる升田のしぐさに悔しさがにじんだ。
 民進公認だった升田は「政権交代を起こせる」と希望からの出馬を決めた。小池の「失策」で旋風は一気にやみ、逆風に変わる。選挙中、升田は釈明に追われた。「希望は自民党の補完勢力ではない。そのようなことがあれば離党する」とまで言い切った。
 希望は衆院定数465の過半数を上回る235人を擁立した。東北は23小選挙区に17人を立てたが、議席は岩手1区のみ。政権奪取の「野望」はついえ、野党第1党の座すら立民に奪われた。
 升田も議席を失った。「政権を取る気がないなら身を置くつもりはない」。党へ最後通告した。

<「票奪い合う」>
 新党乱立に巻き込まれた既存政党も、混戦のあおりを受けた。東北で初の比例2議席を狙った共産党。参院選で成功した野党共闘の実績を踏まえ、前議員高橋千鶴子(58)に加え、仙台市議を辞した新人舩山由美(49)も立てた。
 皮肉にも東北最後の議席は、共闘した立民の3議席目に。共産が得た虎の子の1議席を担う高橋は「分断された野党が票を奪い合う形になった」と嘆いた。
 公明党は前回、悲願の比例東北2議席を獲得した。今回は定数1減の東北を重点区と位置付け、代表山口那津男が2度東北入り。前回より約3万票増やしたが、2議席は維持できなかった。
 党宮城県本部代表の庄子賢一は「風やムードで票が集まる党ではない。1票を取るのに時間と手間がかかる」と短期決戦の難しさをかみしめた。
 投開票から一夜明けた23日、大勝の余勢を駆る首相安倍晋三は憲法改正への意欲を示した。安倍を軸にじわりと動きだした改憲勢力、リベラル勢力の双方に再編の予兆が漂う。決戦の残像は流動化の様相をはらみ、新たな局面に突入した。
(敬称略)


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2017年10月26日木曜日


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