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<311次世代塾>第9回講座 テーマは「遺族その後」

受講生は佐藤さんの話から教訓を学び、未来につなげる防災の在り方を考えた=石巻市大川小

 東日本大震災で起きたことに向き合う通年講座「311『伝える/備える』次世代塾」の第9回講座が14日、現地視察として石巻市であった。テーマは「遺族その後」。受講生の大学生らが同市大川小を訪れ、6年生だった次女=当時(12)=を亡くし、「大川伝承の会」共同代表として活動する佐藤敏郎さん(54)の話を聴いた。心のケアの拠点施設「からころステーション」も訪問。被災者の悩み相談に応じてきた精神科医宮城秀晃さん(63)の講話に耳を傾けた。

◎犠牲を無駄にせずに/大川伝承の会共同代表 佐藤敏郎さん(54)

 大川小は悲劇の場所と受け止められているが、あの日まで子どもたちが楽しく学び、周囲には街があり、暮らしがあった。今は想像するしかないが思いを巡らせてほしい。震災遺構である前に卒業生には母校だ。
 全校児童108人のうち、当時6年生の次女を含め74人、教員10人が犠牲になった。海岸から3.8キロの学校に津波が来るまで51分。津波の情報も裏山など逃げ場所もあった。親としても元中学教諭としても、何とかしてほしかった。
 先生も最期まで子どもを守ろうとしたと思う。みんな、どれだけ怖かったか、無念だったか。残された子もこの6年半必死に生きてきた。耳を澄ませ目を凝らし、考えてもらいたい。
 時間、情報、手段があっても、それが(避難の)「飛行機」になるわけではない。防災は判断であり行動だ。なぜ組織が機能しなかったのか−。未来の防災のため、亡くなった命を無駄にしないため、向き合ってほしい。

◎心のケア 今後が大切/からころステーション理事 宮城秀晃さん(63)

 2011年4月、被災した人の体と心の相談に応じる活動を始めた。同10月に「からころステーション」と名付けた拠点施設を石巻市のJR石巻駅前に開設。医師や看護師、臨床心理士ら22人体制で心のケアに取り組んでいる。
 家族を失った人の悲嘆は深い。生き残った人が感じる罪悪感も見受けられる。親しい人を亡くしてつらい目に遭ったのに加害者的な扱いを受け、苦悩する人もいる。ケアに臨む際はさまざまな思いを受け止め、共感し、「大丈夫」と今後を保障する姿勢が大事だ。
 仮設から復興住宅への引っ越しが進む一方、孤立感や孤独感を感じる人は増えるだろう。隣近所の生活音が聞こえていた仮設と違い、復興住宅はドアを閉めると外から隔絶されたかのよう。不安や焦燥感、抑うつ傾向が心配される。
 震災から6年7カ月。ようやく悩みを話せるという人もおり、心のケアはこれからが重要。10年、15年と続けていく必要がある。

◎受講生の声

<教訓考え続ける>
 大川小の教室は今もきれいに保たれ、子どもたちの元気な姿が目に浮かぶようでした。避難できる時間、情報、手段もあったのに、逃げることができなかったという事実は本当に重い。教訓は何か、危機感を持って考え続けます。(沼沢美樺子さん 仙台市青葉区・東北福祉大3年・20歳)

<理解と支援必要>
 大切な人を失うなどした人の悲嘆ケアが震災から6年半がたった今も続き、週に2人も新規の来院者がいるという講話に驚きました。被災者の心の傷に対する周囲の理解と継続的な支援が必要だと、自省も込めて感じました。(菅野雄哉さん 仙台市青葉区・東北大2年・20歳)

<生きた場所知る>
 悲しいかわいそうな場所と思っていた大川小が、現場で話を聞いて「子どもたちが生きた場所」というイメージに変わりました。犠牲を無駄にしないために、教訓を今後に生かすという次世代の使命も改めて感じました。(上野祐実子さん 仙台市青葉区・宮城学院女子大3年・20歳)

<メモ>「次世代塾」は、河北新報社などが震災の伝承と防災啓発の担い手育成を目指して企画した年15回の無料講座。次回第10回は11月18日。連絡先は同社防災・教育室=メールjisedai@po.kahoku.co.jp
 運営する311次世代塾推進協議会の構成団体は次の通り。河北新報社、東北福祉大、仙台市、東北大、宮城教育大、東北学院大、東北工業大、宮城学院女子大、尚絅学院大、学都仙台コンソーシアム、日本損害保険協会、みちのく創生支援機構


2017年10月27日金曜日


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