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<つながる じもとHD発足5年>(下)効率化/地銀統合モデル追求

定例の意見交換に臨む仙台銀行市場金融部の担当者(右側)ときらやか銀行の担当者=仙台市青葉区の仙台銀本店

 「今週のマーケットの動きはどうだ」
 仙台市青葉区の仙台銀行本店3階で週1回、同行ときらやか銀行(山形市)の市場金融部の行員が集まり、定例会議が開かれる。

<部署丸ごと移設>
 市場金融部は預金を有価証券などで運用し、リスク管理して一定の収益を確保する部署。業務が似通うため、きらやか銀は5月、本店内の同部を丸ごと仙台銀本店に移設した。研修も合同で行う。
 きらやか銀市場金融部の斎藤隆俊部長は「仙台は情報が集まりやすく、移転の利点は多い」と評価し、仙台銀の遠藤宏部長は「互いの情報を違った角度で分析できる」と強調。互いに統合効果を実感している。
 経営統合したとはいえ、両行はあくまで別会社。情報管理の徹底を求める金融商品取引法の制約もある。機密性の高いデータを扱う部署が他社の本拠にあり、部員が意見交換するケースは、持ち株会社傘下同士でも極めて珍しい。

<人事交流も視野>
 「効率化を徹底するため、限りなく合併に近い統合効果を追い求める」
 じもとホールディング(HD、仙台市)が誕生して以降、仙台銀の鈴木隆頭取は繰り返し強調してきた。
 新たな地銀統合のモデルを目指す試みは大詰めを迎えている。
 基幹システムは2015年度に統一を終え、顧客管理や財務分析など81のサブシステムは17年度末までの一本化に向け作業が進む。
 人事面の調整も余念がない。同じポストながら両行で立場が異なった「主任調査役」。管理職だったきらやか銀は今年4月、新たに「主管」を設けた。いずれは本格的な両行間の人事交流が可能になる。

<七十七銀と開き>
 じもとHDが発足直後に試算した統合効果は5億7000万円に上る。ただ、長引く低金利は経営に暗い影を落とす。
 「ボディーブローのように効く」と、きらやか銀の粟野学頭取が言う低金利の影響で、じもとHDの17年3月期決算は、収入の柱の貸出金利息収入が前期比5.4%減。東北の全15行のうち、前期まで唯一プラスだった仙台銀もマイナスに転じた。きらやか銀の下げ幅は15行で最大だった。
 両行は企業貸し出しに力を入れ、収入の減少幅の縮減を目指すしかない。じもとHDの川越浩司経営戦略部長は「全ての部署でスリム化を図り、一線の営業店に人を回したい」と力を込める。
 民間調査会社の東北企業のメインバンク調査によると、きらやか銀は8位で4517社、仙台銀は10位で3359社。単純合算しても七十七銀行(1万5565社)とは開きがある。
 鈴木頭取は「まだ伸びしろはある。両行が一丸となって本業支援を続け、他行との差別化を図りたい」と奮起する。
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 仙台銀行ときらやか銀行(山形市)が経営統合し、設立した持ち株会社「じもとホールディングス(HD)」(仙台市)が、2012年10月に誕生してから5年が過ぎた。人口減少や市場の縮小が進む中、宮城、山形両県の人や情報、産業をつなぐ金融グループとして統合効果を発揮する。5年間の挑戦と今後の戦略を探った。(報道部・田柳暁)


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2017年10月27日金曜日


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