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<ツール・ド・東北>自転車による都市再生 先進地・米ポートランド訪問

オレゴン健康科学大学病院が設置した駐輪場。ここから病院までケーブルカーで結ぶ。隣接地にはナイキのシェアバイクも設置されている
ポートランド市中心部を流れるウィラメット川に架かる橋にも自転車専用レーンがある

 東日本大震災からの復興支援を目的に2013年にスタートした自転車イベント「ツール・ド・東北」は今年5周年を迎えた。主催者の河北新報社とヤフーは15年から被災地の交流人口の拡大を視野に、自治体と連携して「サイクルツーリズムの推進」も目標に掲げた。サイクルツーリズムを推進するためには、さまざまなインフラ整備や公共交通機関との連携が不可欠になる。11月2日に仙台市内で開かれるツール・ド・東北5周年記念「国際サイクリングフォーラム」を前に、自転車文化が花開く米国ポートランドを訪ねた。(ツール・ド・東北取材班)

 米国西海岸北部に位置する人口63万の都市ポートランドは、「全米一の自転車都市」と称される。全米サイクリスト連盟から08年に「バイク・フレンドリー・コミュニティー」のプラチナ認定を他の都市に先駆けて受賞するなど、自転車事業への評価は高い。
 市交通局によると、1970年代に中心部を走る自動車専用道路を撤去し、環境に配慮した「コンパクトシティ」を目指す方針転換を決定。自転車専用道を設置したり、従来の車道に自転車専用レーンを組み込んだりするなどの事業に乗りだした。レーンの幅は1.8メートルから3.4メートル。総延長は年々伸びており、現在は708キロに達している。
 自治体の方針転換に大学や民間企業も連携して取り組む。市南部の丘陵地にある中核病院のオレゴン健康科学大学病院は、麓から市街地のライトレール停車駅までの約1キロをケーブルカーで結び、駅隣接地には民間企業に運営委託した駐輪場の拠点も整備した。駅周辺から病院まで車なら25分かかるが、ケーブルカーを利用すれば4分。駐輪場を駐車場にすれば20台の車しか止められないが、自転車なら420台が可能だ。
 ポートランド市では公共交通機関のライトレールやバスにも自転車を搭載できるようにしており、移動の利便性を高めている。
 市郊外に81施設で構成する本社機能を置くスポーツ用品の世界的企業ナイキ。同社は昨年7月、市の要請を受けて、敷地内で運営していたシェアバイクシステムを市中心部で運営するために1000万ドルのスポンサーシップに合意した。
 ナイキのブランドカラーのオレンジを配色した自転車約1000台が市内100カ所に配置され、「パーク・アンド・ライド」の移動方式も定着している。
 リア・トリート市交通局長は「市の交通総合計画の戦略は明確」とし、(1)歩行者(2)自転車(3)乗り換え(4)タクシー、商用輸送車、シェア車両(5)ゼロ・エミッションカー(6)1人しか載っていない車両−の優先順位に従って戦略を立てる。「通勤で自転車が占める割合はまだ7%だが、25%まで引き上げたい」と話す。

[ツール・ド・東北5周年記念「国際サイクリングフォーラム」]11月2日午後1時から、仙台市青葉区のウェスティンホテル仙台で。サイクルツーリズムを推進するための課題やまちづくりの在り方などを探る。第1部「先進事例講演」では台湾の台南市副市長張政源氏と米国ポートランド市交通局長リア・トリート氏が講演。第2部のパネル討論では「ツール・ド・東北5年の成果から展望する地方の未来、街の未来」と題し、村井嘉浩宮城県知事、ヤフー宮坂学社長、河北新報社一力雅彦社長が意見交換する。当日も参加を受け付ける。連絡先は河北新報社企画事業部022(211)1332。


2017年10月28日土曜日


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