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<杜の都のチャレン人>「仙台一の指」夢紡ぐ

子ども会のイベントで、トランプのカードを宙に浮かすマジックを披露するオーイズミさん=10月中旬、仙台市青葉区角五郎の集会所

◎街をにぎわすプロマジシャン オーイズミさん(33)

 トランプを手のひらに包んで透明なカードに変えたり、ガラス張りの空箱を振るだけでリボンや紙幣でいっぱいにしたり。目の前で不思議を次々演出してみせる。
 「お客さんとは近過ぎず遠過ぎず、絶妙な距離を測りながら一度きりのその場を盛り上げたい」。毎日のように、仙台市内のイベント会場やバーで技を披露する。東北一の歓楽街、青葉区の国分町かいわいでは最近、「仙台一の指使い」と言われるようになった。
 「マジックをやり始めた時期は、実は遅いんですよ」と照れ笑いする。初舞台は、東北福祉大総合福祉学部4年の時。大学の実習で訪ねた気仙沼市の児童養護施設で、フォーク曲げなど本で覚えたての簡単な手品を披露した。子どもたちには、大受けだった。
 「もっと練習したら、もっと人を喜ばせることができるんじゃないか」。やる気に火が付き、インターネットの動画サイトなどを参考に独学で練習を重ねた。
 同大大学院に進んでからは、地域の祭りに呼ばれるようになった。2006年春、同大事務職に就いた頃から、「マジシャンになりたい」と意識するようになる。
 大学職員の仕事は充実していた。4年ほど前、「マジック一本でやっていきたい」と口にすると、職場で強く止められた。それでも、「好きなことを仕事にして生きていきたい」。思いは募り、15年10月に意を決して退職した。
 案の定、生活は急に苦しくなった。出演先を求め、国分町のバーやスナックの扉を一軒一軒たたいては頭を下げた。地道な営業は少しずつ実を結び、心も強くした。
 収入は1回ごとの出演料やチップのみ。仙台にプロはほんの数人しかいない。この街に、もっとマジックの楽しさを。「僕の手品にはタネも仕掛けもありません。あるのは夢だけです」。ショー終盤の決まり言葉は、いつもその日最大の拍手を浴びる。(智)

[オーイズミ]本名・大泉雅史。84年仙台市生まれ。東北福祉大大学院総合福祉学研究科修了。毎週火曜日、青葉区国分町のバー「コーラルリーフ」でショーを行っている。趣味は駅伝観戦とラーメン食べ歩き。青葉区在住。


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2017年10月28日土曜日


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