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<里浜写景>津波の記憶刻む憩いの空間

解体の危機を乗り越え、人々の憩いの場へと生まれ変わった古民家。庭からは石巻湾が望める=石巻市大原浜
牡鹿半島食堂いぶき

 けなげにも津波に耐えた古民家が、宮城県石巻市大原浜の海沿いに建っていた。築80年の年代物は一時解体の瀬戸際に陥ったものの、ことしの春、「牡鹿半島食堂いぶき」として歩み始めた。
 再生を進めたのは、石巻市の一般社団法人オープンジャパン。ボランティア活動に取り組むメンバーの1人が「東日本大震災でも壊れなかったのだから、ぜひ残したい」と所有者に働き掛けたという。
 企業や個人からの寄付も集まった。ようやく保存と活用にこぎ着け、「さまざまな人が楽しめる場にしたい」とオープンジャパンの堀越千世副代表(41)。
 外側は古民家だが、中はかなりおしゃれ。提供する食べ物はおいしく、価格も良心的。テーブルからふと見上げると、壁のしっくいの色が違っている。
 濃淡の境目が古民家を襲った津波の高さ。さりげなく、でもしっかりと、モニュメントの役割も果たす。
文と写真 写真部・安保孝広

<メモ>
「食堂いぶき」は地域をつなぐ役割も担っており、毎月2度のペースでお年寄りの茶話会などに活用されている。食堂の営業時間は、平日と土曜が昼時から午後8時まで。日曜は午後4時までになる。月曜は定休。連絡先は0225(25)7282。


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2017年10月29日日曜日


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