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難病と闘う家族に安らぎ 福島の滞在施設「パンダハウス」20年

闘病生活の合間、パンダハウスの部屋でくつろぐ子どもたち=2014年4月(山本さん提供)
3月に完成したパンダハウスの新棟

 難病と闘う子どもと家族の滞在施設「パンダハウス」(福島市)が今月、利用開始から20年を迎えた。市民ボランティアが自前で建てた全国初の施設で、延べ5000を超える家族に安らぎの時間を提供してきた。今年3月には新棟が完成。運営するNPO法人「パンダハウスを育てる会」の山本佳子理事長(61)は「多くの人の支援に助けられた」と感謝する。

 福島県立医大病院から車で15分の住宅地にパンダハウスの新棟が立つ。リビングには絵本や乗り物といったおもちゃが並ぶ。和洋の3部屋と台所を備え、1泊1000円の利用料は開設以来、変わっていない。
 活動は、息子が闘病した経験を持つ福島市の女性らが1995年、前身の任意団体を発足させたのが始まり。バザーなどで建設費を集め、97年に開所した。運営はほぼ、約350の個人・団体会員の寄付金で賄う。
 医大病院に遠隔地から入院する子どもと家族が利用する。一時帰宅が許されれば、つかの間の家族だんらんの場になり、子どもは母親の手料理を味わう。
 福島県会津坂下町の男児(5)は2年前、先天的な腎臓の病気の手術を受けるため、入退院を繰り返した。母親(34)は病院に泊まりつつ、週末や子どもの外出許可が出た際にハウスを使った。
 「病院では寝付けず、遠い会津の自宅に帰っても休めなかった。親が元気をなくせば子もつらくなる。ハウスで疲れを取り、明るく子と向き合えた」。今は病状が安定した男児もハウスが大好きだったという。
 山本さんは20年間、病と闘う家族を見守ってきた。個々の事情に極力立ち入らないようにしているが、「子どもを亡くしたお母さんが『自宅よりも家族の時間を過ごした思い出の場所』と言ってくれたのが忘れられない」と振り返る。
 予約が重なって利用を断らざるを得ないケースが増え、東日本大震災で建物も傷んだため新棟を整備した。日本財団の助成で旧棟の建て替えも進んでおり、来年3月に完成予定だ。
 運営を支える寄付や会員数の減少に何度も悩まされた。会はバザーやコンサートなど、支援の輪を広げる取り組みを続ける。
 山本さんは「家族を孤立させてはならないと、多くの人が温かい目を向けてくれた。今後もボランティアの力で支えていきたい」と意気込む。


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2017年10月29日日曜日


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