岩手のニュース

震災で不明の夫へ…カレンダーの裏に書きためた手紙が本に

釣崎さんから完成した本を受け取る熊谷さん(左)

 東日本大震災で行方不明の夫に向けて、岩手県陸前高田市の熊谷幸子さん(76)がカレンダーの裏に書きためてきた手紙が一冊の本になった。いまだ帰らぬ最愛の人へのあふれる思いに触れた北海道の男性が、自費で製作を買って出た。

 熊谷さんが、夫磨(みがく)さん=当時(71)=に宛てて書き連ねたカレンダーは250枚を超える。
 「今だに只今ママちゃんと云って戻ってくるんじゃないかと思い…今夜は大好きなカツ丼とアジのたたきで待ってます」
 磨さんと会話するように、日々の出来事や心の内をつづってきた。
 本の製作は、北海道月形町のアマチュアバンドマン釣崎等さん(68)が手掛けた。ボランティア活動で陸前高田市を訪問した昨年秋、熊谷さんと出会って本にまとめることを提案。手紙の文章をパソコンに打ち込んで実物を撮影し、家庭用プリンターで印刷、製本した。
 熊谷さんは磨さんの誕生日の今年6月14日、死亡届を出した。8月に葬儀を執り行った後、遺骨の代わりに本を墓に納めた。「あなたのお墓参りがこれからできるよね」。一緒に入れた手紙には、そう記した。
 完成した本を9月末、熊谷さんに手渡した釣崎さんは「最愛の人が見つからず、ものすごいストレスを抱えていたと思う。残りの人生、やりたいことに打ち込んでほしい」と語った。
 熊谷さんは「本を見ると震災前の出来事なども思い出され、時に涙が出る。磨さんにも見てほしい」と話す。
 本は非売品で70冊を製作した。


2017年10月30日月曜日


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