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<釜石津波訴訟>遺族「地裁判決取り消しを」 控訴審第1回口頭弁論

 東日本大震災で1次避難場所に指定されていない釜石市鵜住居(うのすまい)地区防災センターに避難後、津波の犠牲となった市立幼稚園の女性臨時職員=当時(31)=の遺族が市に約9300万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審第1回口頭弁論が31日、仙台高裁であり、遺族側は請求を棄却した盛岡地裁判決の取り消しを求めた。
 遺族側は、園が震災前に作成した災害時の行動指針が「園長の指示による」との記載にとどまり、園から徒歩8分かかる1次避難場所の鵜住居神社(標高14メートル)への経路なども未検討だったと指摘。「結果的に園長から指示はなく、センターを1次避難場所と誤解して避難した可能性が高い」と主張した。
 津波の襲来は「避難指示を伝える防災無線が鳴った午後2時50分の時点で予見できた」と強調。「市はセンターが正しい避難場所でないことを積極的に周知せず、園は必要な行動指針を策定する義務を怠った」と訴えた。
 市側は園の行動指針に関し「自ら判断して行動できない園児を預かる幼稚園職員の実情を踏まえた。あらかじめ決めた避難方法に、どの程度の意味があるのか疑問だ」と主張。「園は津波浸水予想区域外にあり、津波の到達は想定できなかった。1次避難場所は広報誌などで十分周知しており、センターが避難場所でないことまで周知する義務はない」と改めて反論した。
 4月の地裁判決は、震災前から市は正しい1次避難場所を周知し、女性職員は自らの判断でセンターに避難したと認定。「刻々と変わる災害現場で、避難方法を園長の裁量に委ねるのは合理的」と指摘し、遺族側の訴えを退けた。
 同じく、センター内に避難して死亡した当時71歳の女性の遺族は控訴せず、敗訴が確定した。


2017年11月01日水曜日


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