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<楽天>米村コーチ退団 若手に寄り添い6年間、信念貫き仙台去る

今季限りで東北楽天を退団した米村コーチ。6年間、熱意あふれる指導で若手選手の育成に努めた

 東北楽天を6年間支えた米村理1軍・2軍巡回外野守備走塁コーチ(58)が10月末に退団した。2012年に入団し、翌13年には1軍外野守備走塁コーチとして球団初の日本一に貢献。ノックバットをズボンの後ろポケットに差した独特の姿でグラウンドを走り回った。人一倍元気で明るい人柄と信念を持った指導で若手を育て上げ、多くの選手から「ヨネさん」と慕われた。
 「野蛮であれ」。選手にこう言い続けた。けがをしない強い肉体と、何事にもへこたれない精神力。ネガティブに捉えられがちな言葉をあえて使い、プロの世界で生き抜くために必要なものを伝えようとした。
 まな弟子の一人が今季初めて全試合に出場した島内だ。昨春から2人で早出練習を行い、通常の3倍の重さの球を打つなど一日も欠かさず取り組んだ。その結果、「詰まっても押し込める感覚をつかんだ」島内は、茂木と共に生え抜き初の2桁本塁打を達成した。
 「打てない時もずっと励ましてくれたから頑張れた。ヨネさんがいなければ、ここまで来られなかった」と島内。来季も早出練習を続け思いを引き継ぐ。
 現役時代は阪急(現オリックス)でプレーし、31歳で同球団コーチに就任。以来、27年間一度も現場を離れていない。
 心の支えになったのは駆け出しコーチの頃、今は亡き父から送られた本だった。幕末を舞台に長岡藩家老河井継之助を主人公にした司馬遼太郎の小説「峠」。佐幕派か勤皇派かを迫られる中、自身の理想である中立を貫こうと苦心する主人公を見守る父のせりふに線が引いてあった。「俺はいつも信じているから、お前の信じる道を行け」。父の思いに触れ胸が熱くなった。
 今季は若手主体の育成試合で監督を務め、泉練習場(仙台市)で選手と一緒に汗を流した。11月からはオリックスの2軍チーフ兼打撃コーチを務める。
 退団発表(10月22日)と同時に退任するのが慣例だが、10月末まで毎日、泉練習場で指導を続けた。「退団発表後もグラウンドに出ているのは俺ぐらい。それも俺らしい」。最後まで信念を貫き、「ヨネさん」は仙台を去った。(浦響子)


2017年11月03日金曜日


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