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<東北の本棚>原発事故には負けない

ふくしまで、オレは農業をやる 藤倉紀美子 文・菅野伝授 画

 東日本大震災による東京電力福島第1原発事故の影響を受けた村で野菜作りに取り組む青年を中心に、再起を図る農家の姿を描いた絵本だ。
 主人公は福島県のある村で農業を営んでいた。原発事故により栽培したニンジンやコマツナ、ホウレンソウが全て出荷できなくなった。
 周りでは耕作放棄が相次ぎ「オレはどうやって生きていけば良いのだろう」と一時は途方に暮れた。
 青年の暮らす村は原子力発電所と山を挟んでいた。「山が村を守ってくれた」と気を取り直し、1人で耕作を再開する。
 野菜は無事に芽を出し、順調に育った。青年が作った農産物は放射線濃度が低く、数年後に徐々に出荷できるようになった。
 全国から多くの支援者が集まり、青年は支援に来た女性と結婚。村で一生農業を続ける決意を固め「今でも原発事故は終わっていない。(中略)悩みながら、迷いながら、足を踏み出している」と結ぶ。
 原作者の藤倉紀美子さんは二本松市出身。同市在住で綿栽培を手掛ける。実在する複数の人物との交流を基に物語を脚色した。
 「原発事故に負けず、土や野菜に強い思い入れを持ち、諦めずに農業を続ける人たちの姿を、子どもたちに伝わるよう形に残したかった」と話す。
 文芸社03(5369)3060=1296円。


2017年11月05日日曜日


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