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現代の名工 宮城県内から3人

 優れた技能で業界の発展に尽くした人を顕彰する2017年度の厚生労働大臣表彰「現代の名工」に、県内からみそ製造工の阿部信之さん(58)、日本料理調理人の佐藤信さん(73)、人形製造工の芳賀強さん(76)の3人が選ばれた。

◎醸/独創的発想で新商品
阿部信之さん(58)=名取市箱塚1丁目 みそ製造工

 創業80年の玉松味噌醤油(みそしょうゆ)(大河原町)で工場長を務める。みその製造に携わり40年。独自の商品開発に情熱を傾ける。
 仙台市出身、宮城農高卒。就職先の大河原町の別の醸造会社で、みそ造りを11年間学んだ後に移った。
 商品化に向けた独創的な発想が持ち味。町内の一目千本桜の花から採取した天然酵母でみそを造ったのが代表例だ。
 「地元の素材を使う『土産土法』が他社との究極の差別化」が持論。みそ以外でも醸造の技術や知識を生かし、仙南で採れたユズを使ったポン酢しょうゆや町内産の梅のジュースといったヒット作を生んだ。送り出した商品は200以上に上る。
 良いみそとは何かを自問自答する。「お客さんの数だけ良いみそは違う。こちらは多様な提案をするしかない」と新たな商品に思いを巡らせる。

みそ造りに取り組む阿部さん


◎精/心満たす旬の味追求
佐藤信さん(73)=岩沼市竹の里日本料理調理人

 旬の食材を引き立て、四季の移ろいを器の上に描き出す。日本料理の道を半世紀以上歩み、「師匠、先輩、よき仲間たち。幸運な巡り合わせが一生の財産となった」と感謝を忘れない。
 名取市出身。15歳で仙台市の東北大病院の食堂に入り、同市の日本料理店で修業。働きながら夜間高校に通った。東京や京都の料亭で腕を磨き、精進料理を学んだ天竜寺(京都市)で調理長に。44歳の時に仙台のホテルに移り、日本料理の調理部長を務めた。
 定年退職後、NPO法人「料理寺子屋一滴」を設立。豊富な食の知と技を後進に伝え、中国でも教えた。
 今なお蔵王町遠刈田温泉の精進茶懐石専門店「雪月花 利休庵(あん)」の板場に立つ。「華美を求めず、季節感を尊ぶ。淡味や食材の風合い、煮えばなを大切にする」。山麓のこぢんまりとした茶寮で、食べ手の心を満たす料理を追い求める。

日本料理の心を伝えようと板場に立ち続ける佐藤さん


◎彩/伝統に研さん重ねる
芳賀強さん(76)=仙台市青葉区堤町3丁目 人形製造工

 江戸時代から300年以上の歴史がある堤人形(仙台市)の製造所の13代目。物心ついた頃から家業を手伝っていた。高校卒業後から57年、職人の道を歩んできた。
 分業や機械化をせず、型作り、型抜き、窯焼き、彩色など18の工程を1人でこなす。特に彩色の技能に卓越する。細い筆で最後に顔を描き、人形に命を吹き込む。「目や眉のわずかな違いで人形の印象は変わる」と語る。
 型を改良したり、新しい色使いを考案したりと研さんを続け、新しい人形作りを学ぶ。伝統を守りつつ、その上にあぐらはかかない。歴史をつないだ祖父や父の気概を受け継ぐ。
 工房は見学者に開放し、小中学生の訪問も積極的に受け入れる。「せわしい世の中だからこそ役割がある。人形を見つめて心を和ませる時間を持ってほしい」と願う。

来年の干支(えと)である犬の人形作りに取り組む芳賀さん


関連ページ: 宮城 文化・暮らし

2017年11月06日月曜日


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