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<東北の本棚>生涯、著作充実ガイド

夏目漱石解体全書 香日ゆら 著

 昨年が没後100年、今年が生誕150年となる夏目漱石は、胃弱でスイーツ好き、天然パーマ。「こころ」など不朽の名作を残した一方、門下から各界の人材を数多く輩出した。そんな文豪の人間像を豊富なイラストと漫画、写真とともにたどる。漱石文学の入門書としても、文芸マニア向けのガイドとしても楽しめるハンディな一冊だ。
 著者は漱石ファンを自任する青森市出身の漫画家で、ユニークな3頭身キャラクターで文豪を表現してきた。ギャグを織り交ぜた巻頭の「漱石人生双六(すごろく)」、4こま漫画「先生の日常」には上品な笑いがある。
 後に千円札に採用された肖像写真が象徴するように気難しい印象の漱石だが、教えを請おうと自宅を訪ねる青年はあまりに多く、面会日を毎週木曜日と定めるほどだった。
 「漱石をめぐる人々」の章では、その「木曜会」のメンバーである寺田寅彦、小宮豊隆、阿部次郎、芥川龍之介ら多士済々の門下生はもちろん、友人の正岡子規、高浜虚子、妻鏡子に至るまで、漱石との交流や功績を彩り豊かにつづる。
 他に漱石関連の全国の記念館、各著作のあらすじを紹介する章も。明治・大正期に刊行された初版本の凝った装丁には大いに興味を引かれた。
 河出書房新社03(3404)1201=1404円。


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2017年11月12日日曜日


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