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16世紀末の津波 ペルー地震と無関係 「襲来」宮城の言い伝え

 豊臣秀吉が天下統一を進めていた16世紀末、ペルー沖太平洋のマグニチュード(M)8級地震で、東北地方に高さ約2メートルの津波が押し寄せた−。米海洋大気局(NOAA)など国際的に研究者が用いるデータベース上の津波が、実は文献の書き写しミスによる幻だったことが18日、佐竹健治東京大教授(地震学)の調査で分かった。

 ペルー沖の地震は1586年7月9日に発生したが、85年に津波が来たという国内の伝承と誤って結び付けられていた。この津波は、遠方から日本に及ぶ「遠地津波」では最古の記録とされているという。
 佐竹氏は「誤った記録をそのまま受け継がないよう注意が必要だ」として、12月に米国で開かれる学会でデータベースの修正を訴える。
 宮城県が1903年にまとめた資料によると、同県戸倉村(現在の南三陸町)では、天正13年5月14日(1585年6月11日)に津波が来たとの言い伝えが残っていた。この言い伝えの正体は分かっていない。
 その後も津波が起きるたび、気象庁などが過去の津波をまとめて報告書にしたが、その際に宮城県の記録を誤って書き写したらしく、最終的には1960年の報告書で「天正14年5月14日」(1586年6月30日)と誤記。実際は1年以上のずれがあったが、1586年のペルー沖地震と時期が近いと誤解したらしく、報告書は言い伝えの津波と同じものである可能性を指摘していた。
 この報告書を根拠に津波シミュレーションが行われ、NOAAやロシア科学アカデミーのデータベースは、宮城県沿岸では高さ約2メートルだったと記録している。

<資料分析 注意を/佐竹健治・東京大地震研究所教授(地震学)の話>
 宮城県で言い伝えられてきた津波とペルー沖の地震は、起きた時期が1年以上離れていて無関係だ。地震や津波といった大災害のたびに過去の災害資料を分析するが、今回の例のように誤った記述をそのまま受け継いでしまうことがある。注意が必要だ。

<東北地方と津波> 東北地方の太平洋岸は歴史上、何回も大津波に襲われてきた。2011年の東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)をはじめ、平安時代の869年、江戸時代初期の1611年、明治時代の1896年にも大津波があった。東北沖の太平洋で多くの地震が起きるためだが、遠隔地の巨大地震で津波が押し寄せた例もある。1960年には、チリ沖で起きたマグニチュード(M)9.5の地震で、津波が20時間以上かけて東北地方に及んだ。


2017年11月19日日曜日


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