岩手のニュース

<里浜写景>三たび復興を願う孤高の木 ど根性ポプラ

海沿いの被災地の中で唯一、以前と変わらない姿を残す「ど根性ポプラ」。冬が迫り、辺りに黄色の葉を落としていた
津波に耐え、地区の復興を見守る「ど根性ポプラ」=11月6日、大船渡市三陸町越喜来

 酒屋兼呉服屋の「くまとみ」は、大船渡市三陸町越喜来(おきらい)にあった。
 「常連客でにぎわい、笑い声の絶えない店でした」と家業を継いだ熊谷隼子(はやこ)さん(87)が懐かしむ。仕事を終えた漁師らがコップ酒でも楽しんだのだろうか。
 昭和の初め、熊谷さんのお母さんが店の敷地に1本のポプラを植えた。海までわずか200メートル。昭和の三陸沖地震(1933年)とチリ地震(60年)で津波が押し寄せたが、ポプラは店と共に生き残った。
 そして6年前の東日本大震災。高さ17メートルの津波で店はすっかり流されてしまったが、ポプラはまたもや耐えた。何度も津波を乗り越えたことから、地元の人たちは驚きを込めて「ど根性ポプラ」と呼ぶ。
 熊谷さんは高台に移り、ポプラは市の所有に。周辺はいずれ多目的広場に整備される。店は失われても、ポプラは三陸の被災地に深く根を張り続け、また復興を見届けるに違いない。(文と写真 写真部・鹿野智裕)

<メモ>大船渡市によると、「ど根性ポプラ」の周辺に整備される多目的広場は約2400平方メートルで、完成は2018年度以降になる。植えられてから1世紀近くになるポプラは高さが約25メートル。倒れないよう、念のためワイヤなどで補強する予定だという。


関連ページ: 岩手 社会 里浜写景

2017年11月19日日曜日


先頭に戻る