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油絵「最上川」色彩取り戻せ 明治の洋画家高橋由一の長男の絵 ネットで資金募り修復へ

「やまがたレトロ館 旧山寺ホテル」に保管されている「最上川(本合海)」

 経営者の死去に伴い、2007年に廃業したJR山寺駅前の山寺ホテル(山形市)に長年保管されていた風景画が、日本洋画家の草分けとされる高橋由一の長男源吉の油絵「最上川(本合海(もとあいかい))」と分かり、関係者がクラウドファンディング(CF)で資金を募って修復に乗り出している。鮮やかによみがえらせた作品は、地域の貴重な歴史資料として保存、展示していく予定だという。
 「最上川」は縦70センチ、横150センチ。松尾芭蕉が庄内に向かう船に乗った場所としても知られる新庄市本合海の風景が描かれているが、キャンバスが破れたり、絵の具が剥がれ落ちたりして傷みが激しい。
 絵には署名がなかったため、長く作者不明のまま保管されていたが、4年前に偶然目にした絵画修復家の大場詩野子さん(42)=神奈川県=が、画風や材料から源吉の作品とみて間違いないと判断した。
 大場さんによると、源吉の絵は立体感を強調せず、日本画風の描き方を取り入れているのが特徴。作品によっては、縄や石垣など細部の描写に、由一との類似性が見られるという。
 さらに、当時の新聞などを調べた結果、作品は1911年、旧山寺村の村長から依頼された源吉が立石寺で開かれた展覧会向けに制作したことが判明。複数描いた山形の名勝のうちの一つで、展覧会では由一の作品と合わせて展示された。
 山寺ホテルは展覧会の記者発表会場になっており、展覧会終了後に作品を引き取ったとみられる。
 ホテルの建物は現在、市民グループ「山形歴史たてもの研究会」が運営する展示施設「やまがたレトロ館 旧山寺ホテル」になっている。研究会は作品を保存する上でも修復が不可欠と考え、地域文化財の修復などを行う「文化財マネージメント」(東京)の協力を得て9〜10月にCFを実施。目標を約20万円上回る約142万円を集めた。
 作品は東北芸術工科大文化財保存修復研究センターへ移され、ほこりやごみを除去した後、破損や色落ち箇所の補修をする。修復は来年度中に終了する予定。
 研究会のメンバーは「この場所で保管されてきた理由がある作品。修復して展示を続けるのを楽しみにしている」と話す。レトロ館は来年4月まで冬季休館中。

[高橋由一・源吉]高橋由一(1828〜94年)は日本で最初の本格的な洋画家とされ、重要文化財「鮭」などで知られる。江戸生まれで、初代山形県令となった三島通庸(みちつね)の要請を受け、県内各地で新たに整備された道路や周辺の風景を描き、近代化の様子を記録した。長男源吉(1858〜1913年)は1889年に設立された日本初の洋画団体「明治美術会」の創設メンバーで、洋画の普及などに尽力した。晩年は2度にわたり山形を訪れ、放浪先の石巻で亡くなった。


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2017年11月19日日曜日


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