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福島産の市場価格なお低迷 首都圏購買意欲回復も反映せず 農水省、取引経過調査

東京・恵比寿のマルシェで値札を付けずに並べた福島県産農作物を説明する斎藤代表(右)

 首都圏で福島県産の農産物価格が低迷している。東京電力福島第1原発事故から6年8カ月が過ぎ、消費者の購買意欲が回復してきたにもかかわらず、市場価格の動きは鈍い。農林水産省は2017年度、仲卸、小売業者の取引経過の実態調査に乗り出したが、状況打開につながるかどうかは不透明だ。(報道部・門田一徳)
 東京・恵比寿のマルシェに12日、商品に値札がない八百屋が出店した。「福島から来ました。あなたが値段を決めてください」。二本松市のNPO「がんばろう福島、農業者等の会」の試みで、店頭には前日に収穫したリンゴやネギ、ハクサイなどが並んだ。
 出店の狙いは、福島の農産物に対する消費者への問い掛けだ。客は生産者に栽培方法などを聞き、価格を決めてシートに書き込む。
 この日の売り上げは約5万8000円。通常のマルシェの1.5倍に上った。同会の斎藤登代表は「希望額と売上額がほぼ同じだった。価格低迷の原因は消費者よりも流通段階にあるのではないか」と指摘する。
 福島県の農産物を求める首都圏の消費者意欲は着実に回復している。福島県が9月に行った調査では「買いたい」「買ってもよい」との回答が7割を超えた。
 それでも、市場の反応はさえない。15年以降、東京都中央卸売市場の福島県産主力4品の全国平均との価格差は表の通り。
 とりわけ果樹への影響は深刻だ。生産量全国3位のモモは、17年1〜9月の全国平均との価格差が1キロ当たりマイナス141円で、震災前の10年(マイナス44円)の3倍を超えた。リンゴやネギ、ナメコも震災前水準に満たない。
 市場の評価は、市場価格に基づく小売業者などとの直接取引に連動する。「福島県産品を他産地より安く買い、他産地と同額で売る店もある」(農協関係者)など利ざや稼ぎの標的にされるケースもあるという。
 販売サイドの受け止めは冷ややかだ。ある首都圏スーパーの広報担当者は「適正価格は市場が決めるもの。高い値段で買って販売することは消費者利益に反する」と話す。
 福島県の農産物は約4分の3が首都圏に出荷され、東京市場の評価は生産者の収入に密接に絡む。
 農水省は福島県産の価格低迷の原因を調査するため、仲卸や小売業者に価格の決定方法などを聞き、結果を年度内にまとめる。必要に応じ指導・助言する。
 市場価格は品質や需給量などが複雑に絡む。「福島県産が理由で安値なのか判断しづらい」(流通関係者)との声もあり、指導・助言の実効性は見通せない。


2017年11月19日日曜日


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