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<衆院選総括>小池氏敗因、首相候補挙げずは致命的 片山善博・早大教授に聞く

小池都政の今後を「職員が知事を信頼していない。レームダック(死に体)に近い状態だ」と見通す片山氏

 10月の衆院選で希望の党を率いた小池百合子東京都知事の戦略は不発に終わった。「排除の論理」をきっかけにした失速は「首長政党」の限界も露呈した形だ。地方を巡る論点を含め、鳥取県知事や総務相を歴任した早稲田大公共経営大学院の片山善博教授(66)に衆院選を総括してもらった。(聞き手は東京支社・瀬川元章)

 −小池氏の敗因は。
 「排除発言だけではない。首相候補を挙げられなかったのは致命的だった。政権交代を目指すなら党首は立候補すべきだ。自分のダミーやロボットを一国の宰相に据えるのか。それは民主主義国家ではない。もし選挙に出ても、知事を1年余りで放り出す無責任な人が国政を担えるのかと批判を受ける。出口のない所に自らを追い込んだ」

 −党代表も辞任した。
 「具合が悪くなったらさっさと辞めるのはリーダーとして実に無責任。ただ、国政政党の代表に居座るのも知事としては無責任だ。二足のわらじを履いたことに無理があったわけで、うかつさと不見識が醜態の原因と言っていい」

 −国政選挙で地方分権は争点になりにくいのか。
 「そんなことはない。民主党が2009年の衆院選で前面に打ち出した地域主権改革は政権交代を実現した大きな要素。地方分権、地方重視は本来、与党を揺さぶる要素になるが、今回の衆院選では珍しいことにほとんどなかった」

 −希望の党は道州制導入を衆院選公約に掲げた。
 「中央政府の権限を大幅に地方に下ろす解体再編型もあれば、国の出先機関を合体させて国の下部機関としてブロックを治める中央集権型もある。道州制と言っても同床異夢。基礎的な議論が不足している」

 −全国知事会が地方自治の充実を目的に改憲を提起している。
 「憲法92条の地方自治の本旨を明確にすべきだとの議論があるが、具体的にどう書くのか。地方自治の本旨という表現で何が不自由なのか明らかにすべきだ」
 「地方自治の本旨にもとる法律や政策が多い。地方創生が典型だ。国が自治体に対し一斉に号令を掛け、総合戦略を作って早く持ってこい、いい内容なら支援してやろうという態度。自治体は唯々諾々と従ったのではないか。そうした理不尽に抵抗し、きっぱり意思表示する態度が必要だ」

 −参院選挙区の合区問題で妙案はあるか。
 「憲法(47条などの)改正は必要ない。衆院と差別化し、参院をより地域代表的な性格に法律で充実させる方法を取るのがいい」
 「最高裁が参院の1票の格差を厳しく言い出したのは、衆院に小選挙区比例代表並立制が導入され選挙方法が似てきたからだ。選挙制度を明確に変えるだけでなく、国会質疑で地域性を加味するといった運営方法も一つ。地域性によりどころを求めるのは、すこぶる合理性がある」


2017年11月19日日曜日


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