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<この人このまち>効率営農へGAP取得

ごとう・なおゆき 1983年福島県新地町生まれ。IHI相馬工場(相馬市)を2013年に退社。家業の農家を継ぎ、16年春に法人化して社長に就いた。

 福島県新地町の農業法人「グラン・ファーム」が今秋、食品の安全性認証「JGAP」(穀物、青果物部門)を取得した。相双地方では初めて。工場勤務から転身した後藤直之社長(34)は「効率的で合理的な経営に役立てる」と農業の将来を見据える。(南相馬支局・斎藤秀之)

◎グラン・ファーム社長 後藤直之さん(34) 自社の耕作面積広げ、周辺農家との連携・協力も視野

 −認証取得の目的は。
 「認証を受けるには栽培計画の明確化や作業のリスク軽減策などが求められます。そうした申請過程そのものが社内の作業ルール整備につながると考えました。今後、新入社員の教育にも役立てられます」
 「これまでの農業は勘や経験頼みの側面がありました。でも、大規模化して組織的に営農するには作業の標準化は避けられません。交代勤務の工場では当然のこと。農業でも、人が代わっても作業レベルを安定させることが必要です」

 −準備にどれぐらいかかったのでしょうか。
 「今年1月に認証取得の方針を決め、月1回程度コンサルタントに入ってもらって指導を受けました。肥料や水の成分分析、施肥の根拠なども求められ、それらを調べることが私自身の勉強になりました。食品の安全とは何かを再度考えるきっかけにもなりました」

 −現在の営農規模は。
 「社員2人で40ヘクタール強に作付けしています。半分以上は外食産業向けのコメ。等級や食味といった質以上に、安定、効率的な営農が求められます。小型無人機『ドローン』を使って生育状況を把握し、施肥計画を立てるなどしています」

 −稲作は丹精込めるというイメージがあります。
 「食事する場所だって高級レストランから大衆食堂まで多様。コメも同じ。消費量が落ちたといわれますが、外食や中食向けの需要は伸びている。ニーズに合わせた生産は工業製品も農産物も一緒でしょう」
 「東京電力福島第1原発事故で福島の農産品に風評被害があっても、牛丼店やコンビニエンスストアで食材の産地を気にする消費者は少ない。高品質のコメで産直販売する手もありますが、風評や在庫といった経営リスクを背負うのは避けたいと考えています」

 −今後の展望は。
 「これからは農家から農地管理を依頼されるケースが増えるでしょう。耕作規模が大きければ取引先の幅が広がる。自社の耕作面積を広げるとともに、周辺の大規模農家とも連携、協力していきたいですね」


2017年11月20日月曜日


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