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<伊豆沼・内沼>消滅まで180年? 土砂堆積が加速

土砂の堆積が加速し、年々浅くなっている伊豆沼

 ラムサール条約登録湿地で、宮城県の栗原市と登米市にまたがって位置する伊豆沼・内沼への土砂堆積量が近年加速し、早ければ180年後に埋まってしまう可能性があることが、県伊豆沼・内沼環境保全財団などの調査で分かった。同沼を含む迫川水系で堤防やダムの建設が進んで治水環境が向上したため、沼の氾濫が減り、土砂が排出されにくくなったとみられる。沼が浅くなる過程で、生態系や植生が変化する可能性もある。
 財団が1985年と2007年に行った伊豆沼・内沼の水深測量値を基に試算したところ、同沼へは年間平均1万立方メートルの土砂が流入し、底部分に同4ミリ前後堆積していた。22年間で12センチ堆積した場所もあった。
 財団が08年以降、衛星利用測位システム(GPS)や小型無人機ドローンを利用した地理情報システムで計測している結果も、堆積速度は同様の傾向を示している。この状態が続くと、180〜460年後に沼は土砂で埋まってしまうという。
 迫川水系の治水環境整備に加え、沼周辺では戦後に大規模干拓が行われて沼の面積は約6割に縮小し、浅沼化が進みやすくなった。干拓農地に散布された肥料が沼に流れ込んで富栄養化を招き、1970年代からハスが大繁殖を始めた。ハスは枯死しても分解されにくく、そのまま沼底にたまって浅沼化の一因になっている。
 県農業短大(現宮城大)は92年、伊豆沼・内沼の底にある栗駒山噴火(1100年前)に伴う火山灰層の上に70〜80センチの土砂が堆積していることから、「伊豆沼には年平均約0.7ミリ、内沼は1ミリの土砂が堆積し、1600年後に埋まる」と試算した。財団の調査結果は、これより早く堆積が進む実態を示した。
 財団の藤本泰文研究員は「浅沼化の速度を落とすため、夏場に湖面の8割以上を覆うハスを適切規模に刈り払う必要がある。沼から土砂を排出する方法も検討しなければならない」と指摘する。

[伊豆沼・内沼]面積は伊豆沼が289ヘクタール、内沼が98ヘクタール。水深は平均80センチ、最深部でも1.6メートルと浅い。水生昆虫や魚類、鳥類など多種多様な生物が生息する。秋から冬にかけてガンやカモ、ハクチョウが飛来し、越冬する。マガンが一斉に飛び立つ羽音と鳴き声は環境省の「残したい日本の音風景100選」に選ばれた。


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2017年11月21日火曜日


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