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<南極見聞録>力持ち 雪上車が頼り

地吹雪の中での給油作業。ドラム缶用の手動ポンプで給油します。1回転で1リットル入りますが、雪上車のタンクは大容量なのでなかなかの重労働です(筆者撮影)
大型雪上車は地吹雪などで視程が悪い時にはヘッドライトをつけて車両を見失わないようにします。さらにそれぞれの車両は登山用のザイルで連結しています(筆者撮影)

 第58次南極地域観測隊に仙台市太白区の外科医大江洋文さん(57)が参加している。過酷な環境の中で任務に励む日々。極地の「今」を伝える。

◎こちら越冬隊 Dr.大江(14)観測拠点「旅行」

 東オングル島にある昭和基地の東方約19キロの大陸氷床上に、S16、S17という観測拠点があります。そこに、3泊4日で行ってきました。S16には大型雪上車やそりが常時デポ(配備)してあり、内陸にある「みずほ基地」や「ドームふじ基地」などに向かう際の中継地点になっています。

<食料や機器満載>
 観測隊は、宿泊を伴う基地の外での行動を「旅行」と呼びます。日帰りの場合は「遠足」と言いますが、どちらも行楽を目的にしているものではありません。
 S16から約2キロ離れたS17には、航空機観測拠点があります。ここは47次隊から2か年計画で行われたドイツと共同の航空機観測のために作られ、二つの小屋と1200メートルの雪上滑走路がある施設です。
 直線距離で19キロといっても、昭和基地からはオングル海峡の氷山帯や大陸上のクレバス帯や起伏の多い所を迂回(うかい)して行かなくてはならず、実際の走行距離は約35キロになります。
 食料や整備・観測機器を満載したそりを引いた雪上車は、時速約8〜10キロでしか走行できないため、内陸旅行はどうしても宿泊を伴うことになります。また、大型雪上車の燃費は一般的に表記すれば、約250メートル/リットル(観測隊では4リットル/キロ、つまり1キロ走るのに燃料を4リットル消費すると表現)と大量の燃料を使います。

<多量のドラム缶>
 ですから、燃料の入ったドラム缶も多量に持って行かなくてはなりません。雪上車はとても力持ちで、1台で2トンを積み、そりを7台も引っ張ることができるのです。雪上車の中には調理台や2段ベッドも準備されており、旅行中は食堂や会議室、寝室にもなります。外の気温がマイナス20度以下でも車内は普段の服装で過ごすことができます。就寝中はエンジンを切るので、もちろん、厚い寝袋は欠かせません。
 今回の滞在中はデポしてある雪上車の車輪に潤滑油を差したり、エンジンオイルや部品の交換をしたりしました。気象観測のための風力発電機や測定器具の交換や保守点検作業も気象隊員と協力して行いました。
 マイナス20度、風速20メートルもの厳しい条件の中、寒さで手の感覚がなくなりそうになるたびに、雪上車に逃げ込んで暖を取りながら作業を無事に終了しました。(第58次南極越冬隊員・医師 大江洋文)


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2017年10月28日土曜日


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