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<南極見聞録>動物視線で生態探る

基地を訪れたコウテイペンギン。200キロも離れた所に営巣地があり、昭和基地ではめったに見ることができないので、たくさんの隊員がカメラ片手に出迎えました。体長約120センチ、体重約30キロ。小学1年生くらいの大きさです(筆者撮影)
ウェッデルアザラシの親子。成獣は体長約3メートル、体重は400〜450キロにもなります。水深700メートルの深さまで1時間以上も潜っていられる潜水能力に優れた種ですが、これらの知見もバイオロギングによって得られたものです(筆者撮影)

 第58次南極地域観測隊に仙台市太白区の外科医大江洋文さん(57)が参加している。過酷な環境の中で任務に励む日々。極地の「今」を伝える。

◎こちら越冬隊 Dr.大江(15)夏の到来

 日本では夜が長くなり風も冷たく感じる時季になってきたと思います。季節が逆の南極では夜がどんどん短くなり、11月中旬の時点で日の出が午前2時すぎ、日没が午後10時すぎ、夜とはいっても外は薄明るく、11月22日からは太陽の沈まない白夜になります。
 極寒の冬の天空に彩を添えたオーロラとも、もうお別れ。撮影する写真はまぶしい野外での素材が多くなってきました。気温もぐんぐん上昇し、先日はとうとう0度を上回ってしまい、日差しが強いと野外作業の際には汗ばむこともあります。

<小型カメラ装着>
 基地の周りでは、多くの動物たちを見られるようになってきました。先日、生物隊員の研究の支援のためにアザラシ調査に同行してきました。南極には第3回で紹介したカニクイアザラシのほかに、ミナミゾウアザラシ、ロスアザラシ、ヒョウアザラシ、ウェッデルアザラシ、ナンキョクオットセイの6種類の鰭脚(ききゃく)類(四肢がヒレ状になった哺乳類)が生息しています。
 今回の調査目的は、動物に小型のビデオカメラや加速度計などの記録装置を装着し、その行動や生態を調査するバイオロギングという最先端の手法によって、ウェッデルアザラシのデータを収集することです。

<海氷上で子育て>
 アザラシの視線で、人間が見ることのできない海中での育児や摂食行動などの状況の解明が期待されています。昭和基地周辺でよく見られるこのアザラシは、定着氷の割れ目から外にはい出し海氷の上で子を産んで育てます。10月中旬ごろから出産ラッシュが始まり、母親と生まれたばかりの赤ちゃんが仲良く海氷の上で昼寝をしている姿を見ることができました。
 アザラシを調査に行く途中の海氷上では、アデリーペンギンのかわいらしい足跡や営巣地に急ぐ姿をよく見かけます。これからペアが成立し、卵を産んで子育てをするために雪や氷のない露岩帯に集まって、繁殖の季節が始まります。写真のコウテイペンギンと比較すると小ぶりで、体長約70センチ、体重5キロくらいの中型のペンギンです。
 ここ数年は海氷が流れて海水面が露出している所が多いことから、ペンギンにとっては餌を採取しやすい条件のため、ひなの順調な生育が予想されています。(第58次南極越冬隊員・医師 大江洋文)


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2017年11月18日土曜日


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