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<南極見聞録>氷山のかけらで一杯

さそり座、いて座付近の天の川。写真のほぼ中央に土星が明るく見えます。空気が澄んで周囲も暗く、たくさんの星が見えるため、星座の形を追うのはかえって大変です。淡い緑色のオーロラが星明かりに彩りを添えました(筆者撮影)
昭和基地の中には理容室もあって、予約をすれば隊員誰もが自由に使えます。58次隊では剃髪(ていはつ)が流行しています(柴田勝秀隊員撮影)

 第58次南極地域観測隊に仙台市太白区の外科医大江洋文さん(57)が参加している。過酷な環境の中で任務に励む日々。極地の「今」を伝える。

◎こちら越冬隊 Dr.大江(12)基地の娯楽(下)

 農協のサークルは昭和基地では貴重な生鮮野菜の生産で活躍しています。メンバーも33名の越冬隊員のうち14名と大所帯で、今年、改装オープンしたグリーンルームからこれまでにレタス、小松菜、バジル、モヤシ、カイワレなどが出荷されました。ここでは24時間、人工照明がともり、ポンプで水耕栽培の培養液が循環しています。
 今年は理化学研究所との公開利用研究の一環として、真っ赤な甘いイチゴも栽培、収穫されました。キュウリやスイカを栽培した隊もあります。年に1度の補給しかない昭和基地では新鮮な緑の野菜は何よりもありがたいものです。
 ただし、以前にもお伝えした法律の関係で、土壌の持ち込みは禁止されているので、大根やニンジンなどの根菜類は残念ながら育てられません。

<週に1回 上映会>
 昭和基地ではテレビ番組の視聴はできないので、シアター係が週に1回、大画面で放映する映像は貴重な娯楽です。もちろん参加は自由ですが、係員の好みで持ち込んだアイドルのコンサートやアニメ、クラシック映画など多種多様の素材が放映されます。多くの隊員を動員するための宣伝合戦も楽しみの一つです。
 バーは毎週1回、金曜日に開店します。バーテンダーがいつの間にか職人になってすしを握ったり、たこ焼きパーティーが開催されたり、毎回楽しんでいます。自分たちで採取してきた氷山の氷を浮かべたハイボールは、国内では味わえないぜいたくな人気メニューの一つです。

<思い思いの髪型>
 興が乗れば、隣接する娯楽室でカラオケ大会が始まり、その一角ではマージャン卓を囲む隊員もいます。もちろん、基地の中ではお金は不要ですので、勝ち負けの清算はトイレ掃除や食器洗い、ごみ捨てなどの業務の代行でしているようです。
 髪の手入れは、自分だけではどうにもならないものです。こんな時には理容係が活躍します。人目を気にせず、思い思いのヘアスタイルができるのが、越冬隊のいいところ。モヒカン刈り、シェイブドヘッド、武士風の月代(さかやき)、カラフルな染髪など多種多様です。この係になる隊員は、出発前に美容専門学校で研修まで受けて来るという本格的なものです。(第58次南極越冬隊員・医師 大江洋文)


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2017年11月21日火曜日


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