岩手のニュース

復興支援米「たかたのゆめ」デビュー5年目 供給不足が課題

店頭に並ぶたかたのゆめの新米

 東日本大震災の復興支援で誕生した岩手県陸前高田市のオリジナル米「たかたのゆめ」が今秋、5度目の収穫を迎えた。市場の評判は上々だが、供給不足が課題だ。各地に話題のコメが登場して競争が激化する中、増産態勢を含めた販売戦略が急がれる。(大船渡支局・坂井直人)

<市場の需要300トン>
 たかたのゆめは首都圏の百貨店、愛知県内の生協、岩手県内のスーパーなどで販売。すっきりした食味で冷めてもおいしいとの評価だ。9月から3カ月間は北海道・東北新幹線下りのグランクラスで提供する軽食にも使われている。
 集荷する大船渡市農協は、農家に支払う概算金を独自に上乗せし、ひとめぼれと同額にしてきた。市場の需要は300トン。佐藤忠志営農部長は「全量を売り切ってしまい、供給量が足りない」と話す。
 作付けが始まった2013年以降の収量などの推移はグラフの通り。水田の約8割は土を入れ替えた復旧田で土作りが難しく、収量が安定しないのが悩ましい。
 市は生産者や卸業者と「たかたのゆめブランド化研究会」を発足させ、栽培技術や土壌改良で試行錯誤を重ねてきた。減少傾向だった反収(10アール当たりの収量)は今年、ようやく増加する見通しだ。
 市は将来目標を作付面積100ヘクタール、収量500トンとしており、実現には営農規模や新規参入の拡大が不可欠。苗の購入費補助など支援メニューを充実させる。
 ただ昨年度までの平均反収は、ひとめぼれを主力とする市全体を下回っている。ある生産者は「ひとめぼれを作るよりメリットがあると感じさせる必要がある」と指摘する。

<物語性を大事に>
 そもそも沿岸部に位置する陸前高田市の主食用米の作付面積は約300ヘクタールにすぎない。境を接して内陸部の奥州市は約1万ヘクタール、一関市は約6000ヘクタールと生産規模は桁違いだ。
 佐藤部長は「復興支援がいつまでも続くわけではない。コメの品種はたくさんあり、安定供給できなければ、他のコメで十分となりかねない」と危惧する。市は近くターゲットとする商圏、栽培や販売の方針を盛り込んだ戦略プランを作成し、てこ入れを図る。
 市農林課の担当者は「デビューまで時間をかけて育ててきたコメと異なり、走りながらやっている。まだ研究途上で伸びしろはある」と強調。復興支援という物語性を大事にしながら作付け農家の所得向上を目指す。

[たかたのゆめ]日本たばこ産業(JT)が開発、保有していた「いわた13号」の原種を、復興支援のために権利も含めて陸前高田市に寄贈して栽培。公募で名称を決めた。市のふるさと納税の返礼品にも採用されている。


2017年11月22日水曜日


先頭に戻る