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里の誇り ワラビ粉作り最盛期 手作り風味良く 本場京都で高評価

ローラーと奥の洗濯機を使ってワラビ粉作りに励む猪股さん夫妻

 秋田県由利本荘市山内の三ツ方森地区で、特産のワラビを原料にしたワラビ粉作りが最盛期を迎えている。猪股保さん(69)、節子さん(72)夫妻が5年ほど前に復活させ、ほぼ手作業で製造している。昨年の生産量は74キロとわずかだが、手作りの国産品は貴重で、納入先の京都市の業者は「品質が良い」と太鼓判を押す。作業は今月末まで続く。

 猪股さん方の近くにある作業小屋。保さんがワラビの根茎をローラーで押しつぶし、節子さんがそれを洗濯機でかき混ぜ、でんぷんを水に溶かす作業を黙々と続けていた。
 水を一晩置き、底にたまったでんぷんを取り出し、さらに水を入れて沈殿させる作業を5回ほど繰り返す。最後にふるいでごみを取り、自宅で1週間程度乾燥させると完成だ。
 ワラビは地区の山に自生し、根茎にでんぷんのたまる秋に1日約50キロ分を掘り起こす。そのうちワラビ粉になるのは2〜3キロしかない。
 「手間がかかる作業は大変」と保さん。重労働を支えるのが、「誇り」と胸を張る品質への高い評価だ。
 製品は和菓子材料販売のヤマグチ(京都市)に納入している。「風味が良く、愛情を持って作業しているところにほれた」と山口隆平社長(61)。同社は全量を京都市内の和菓子屋に納めている。
 三ツ方森地区は江戸時代、本荘藩が隣接する亀田、矢島両藩との境を監視するために集落が設けられた。ワラビ粉作りが盛んだったというが、作り方は伝わらず、保さんも「見たこともなかった」と言う。
 地区の座談会で、住民から「以前食べたワラビ粉の餅を味わいたい」との声が上がった。2010年から猪股さん夫妻を中心に地区住民が製造法の再現を目指した。
 試行錯誤を重ねたが、不純物が多かった。救いの手を差し伸べたのが、山口社長だった。地域事業を支援する秋田県の担当者が仲介し、13年に三ツ方森地区を訪問。ローラーや目の細かい特製のふるいを贈ったことで、品質は飛躍的に向上した。
 5世帯、6人にまで減った過疎の地区にはワラビ粉作りに関心を寄せる県外の農家らの視察が相次ぐ。「集落が注目された」と喜ぶ保さんは「元気なうちは続けたい」と意欲を示す。


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2017年11月22日水曜日


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