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作家柳美里さん 福島・南相馬で書店開業へ「学生や住民の憩いの場に」

坂さんから書店の設計について説明を受ける柳さん(手前右)

 東日本大震災と東京電力福島第1原発事故からの復興支援のため、福島県南相馬市小高区に移住した作家柳美里さん(49)が来春、同区に書店を開業する。被災後に再建した宮城県女川町のJR女川駅などを手掛けた建築家坂茂さん(60)に設計を依頼。2人は22日、東京都内の坂さんの事務所で会談し、設計の基本方針で合意した。
 坂さんが設計したのは、柳さん宅前の駐車場に張り出す形で整備する木造平屋の書店(約25平方メートル)。22日に公開されたデザインは、坂さんが東日本大震災など世界の被災地で建築に携わってきた紙の筒「紙管」を多用。壁は本棚にし、JR常磐線小高駅前通りに面した部分は三つの扉を配し、開放感を醸した。
 柳さんは、地元の学生や住民の憩いの場となるような書店の構想を提案。坂さんはそれを踏まえ、中央に紙管で作ったテーブルと椅子を置き、書店でありながら訪れる人が立ち読みしたり、自由に座って懇談したりできる仕様にした。
 柳さんは「本数の少ない常磐線を待つ学生や生徒、一時帰宅したお年寄りが気軽に立ち寄れる空間にし、常磐線を介した南相馬−仙台間の交流人口増も図りたい」と話した。書店を建築する際は、中高生にも協力を呼び掛けるという。
 坂さんは「紙管の加工は容易なので、地元の大工さんと協力して自分たちの手で地域の書店を造ってほしい」と説明した。
 柳さんは7月、南相馬市原町区から小高区に移住した。原発事故で同区が避難区域に指定されて以降、書店がない同区に図書室のような店舗の建設を計画。9月に設計を依頼していた。
 柳さんは今後、住居部分の蔵を改装して劇場も整備する。完成後は書店で扱う書籍の朗読会を開くほか、東京や仙台から劇団を招いたり、地元住民が公演したりする場にしていく考え。


2017年11月23日木曜日


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