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<里浜写景>今も昔も生活潤す山の恵み 神泉の水

朝早く、畑から戻って水場を利用する地元の農家。洗っているのは地元の伝統野菜「からどり芋」の茎。漬物にしたり、干して食べるという
神泉の水=山形県遊佐町

 日本海に向かってなだらかに裾野を延ばす鳥海山。その西端の山形県遊佐町に「神泉(かみこ)の水」がある。海までわずか30メートルほど。
 朝早く、女鹿(めが)地区の住民が飲み水をくみ、夕方には畑仕事を終えた農家が野菜や農具を洗う。
 ご近所さんが集まると自然に「井戸端会議」でにぎわう。「女鹿の人たちにとって、なくてはならないもの。夏になれば子どもたちが水遊びもできるし」と、すぐ近くに住む高橋孝行さん(68)が言う。
 神泉の水の源は鳥海山の伏流水。500メートル離れた湧水池からわざわざ引いている。水場に江戸末期の「安政」の年号が刻まれた石碑があり、古くから大事にされてきたらしい。
 コンクリートで固められた長さ6メートルの水場は、六つに仕切られている。一番上は飲用で、冷やし、洗いと続く。一番下は、おむつの洗濯用だった。今や洗う人はいないが、変わりなく日々の生活を支えている。
(文と写真 写真部・佐藤将史)

<メモ>「神泉の水」の水温は年間を通して11度前後で安定している。夏場、スイカなどの果物を冷やすのはもちろん、名物の岩ガキも真水で冷やすと新鮮さを保つという。これからの冬場は、地元で取れる岩ノリの洗い場としても盛んに利用される。


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2017年11月26日日曜日


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