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宮城からの避難者調査終盤へ 都会の壁で帰郷確認難航

県外避難者が住むとみられるマンション入り口で、インターホンを押して待つ伊藤さん(右)ら調査員。「移動は1日2万歩にもなるが、本人に会えるとうれしい」と話す=17日、東京都内

 東日本大震災で被災し、宮城県から県外に移動した避難者に関する県の実態調査が終盤に入った。対象は46都道府県の2451人。首都圏では2人の調査員が住所を頼りに、1軒ずつ訪ね歩く。人口1300万の東京ではマンションなど閉鎖性に阻まれ、接触できないケースが多い。希薄なコミュニティーも情報が得にくい要因だ。連絡が取れない人は暮らしぶりが分からず、調査員に焦りが募る。(東京支社・瀬川元章)
 東京が冬の気配に包まれ始めた今月中旬。宮城県調査員の伊藤和靖さん(63)=練馬区=、日下由美子さん(53)=千葉県八千代市=はJR目黒駅近くのマンションを訪れた。
 事前情報では40代の夫妻が暮らす。郵便受けの表札と名字は一致した。期待してインターホンを何度も押したが反応はない。思わずため息をつく。意向確認の文書を投函(とうかん)した。
 この日、回った3カ所は全て空振り。日下さんは「平日の昼は不在が多い。セールスなどと勘違いされ、居留守を使われている可能性もある」と打ち明ける。
 実態調査は5月に本格化した。総務省の全国避難者情報システムに電話番号が登録されていれば電話をかけ、連絡が付かないと訪問する。帰郷を希望する場合には住まいや仕事、子どもの学校など古里での生活再建に向けた情報を提供する。各種相談の窓口や元の市町村につなぐ。
 県東京事務所が担当するのは関東甲信と岐阜、静岡両県の961人。10月11日現在、6割超に当たる614人の調査を終えた。
 その内訳は既に帰郷したり、避難先での定住を決めたりするなど「避難終了」が383人だった。「避難継続」の231人のうち、帰郷の意思を示したのは186人に上る。
 訪ねた避難者に「家に上がって」と促され、「この先どうすればいいの」と心配顔で相談を受けたこともある。日下さんは「震災から6年たっても帰りたい人がいる。特に年配の方は帰りたくても帰れないのが現実ではないか」と懸念する。
 手を尽くしたが、40人近くの所在が分からなかった。伊藤さんは「現地で何十分粘っても、たどり着けないことがある」と悔しがる。
 伊藤さんは転勤先の仙台市で震災に遭った。日下さんは両親が宮城県出身という縁があった。調査員は1年限りだが「宮城の役に立ちたい」と手を挙げた。
 年度末まで4カ月。「最後の一人まで、宮城に帰って来てほしいと伝えるのが私たちの使命」。2人の思いは一つだ。


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2017年11月29日水曜日


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