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<脱埋没への模索 どうする登米・栗原>第1部 産業経済(1)プロローグ/2市 潜在力生かせず

人通りが少ない宮城県登米市の中心商店街(右上)、開発が進んでいない宮城県栗原市の東北新幹線くりこま高原駅前(左上)、ハスが咲き誇る伊豆沼(下)のコラージュ
宮城県登米市・栗原市の人口推移と将来推計値

 岩手県境に隣接する宮城県の登米、栗原両市はいずれも2005年に「平成の大合併」で誕生した新市だ。行政の効率化などを目指して登米は9町、栗原は10町村が一つになった。
 栗原は面積が県内市町村で最も広い805平方キロで人口約6万9000人、登米は536平方キロで約8万1000人。2市の合計面積は東京23区の2倍以上に当たる。

<過疎化が加速>
 いずれも基幹産業は稲作を中心とする農業だ。「先祖代々の土地を守る」という意識が強いこともあり、人口集積によるコンパクトシティーとは縁遠い。高齢化が進み、過疎化に歯止めがかからない状態が続く。
 登米は迫町佐沼地区周辺に全国チェーンの郊外型大型商業施設が集まり、近隣から買い物客が訪れる。だが、市内の高齢女性は「客はマイカーで家と店を往復するだけ。そぞろ歩きを楽しめる中心商店街的な魅力はない」と振り返る。
 栗原は「へそ」となる地区が見当たらない。玄関口とするべく、請願駅として1990年に開設された東北新幹線くりこま高原駅周辺は、土地利用を制限する農業振興地域のため大方が水田だ。「潜在力を生かし切れていない」と残念がる市民は多い。
 県内を見渡すと、両市の南側に位置する大崎市は周辺4町と定住自立圏協定を結び、共生ビジョンを策定して圏域の活性化に取り組む。仙台都市圏(14市町村)は津波で被災した地域もあるが、企業や大学が多く立地する政令市・仙台市を軸に求心力は強い。

<人的交流盛ん>
 合併を選択しなかった県南では各市町がそれぞれの長所を生かしながら、まちづくりに取り組む。
 蔵王山麓に位置する白石市、蔵王町、川崎町にはスキー場があり、温泉は「みやぎ蔵王温泉郷」として情報発信に努める。柴田町には仙台大が立地し、村田町は県内で唯一、町中心部の蔵の町並みが国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されるなど、強みを持つ自治体が多い。
 登米、栗原両市は都市間競争の中で埋没してはいないだろうか。
 小安街道だった国道398号、水運の要である迫川でつながる両市は歴史的、経済的に結び付きがあり、人的交流も盛んだった。みやぎ県北高速幹線道路の建設も進み、つながりは強みを増す。氾濫を繰り返す迫川の水害対策は共通課題でもある。
 過疎化と高齢化が加速し、将来的には消滅の可能性も指摘される両市が持続するためにはどうすればいいのか。連携すべき点はあるか。第1部では、観光や農業などの分野で課題を探る。
(登米支局・本多秀行、若柳支局・横山寛、栗原支局・土屋聡史)=第1部は6回続き


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2017年11月24日金曜日


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