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<脱埋没への模索 どうする登米・栗原>第1部 産業経済(3)観光振興(下)/地震逆手に誘客図る

錦秋の栗駒山麓。栗原市は栗駒山から伊豆沼・内沼に広がる地形を活用して誘客を図る方針だ

 宮城県栗原市の栗駒山麓は市全体の観光客数の四分の一に当たる年間50万人(2016年)が訪れる観光名所だ。とりわけ赤や黄色の紅葉に彩られる10月は、登山道に通じる県道に観光バスやマイカーが連なる。
 「2008年の岩手・宮城内陸地震で道路網が寸断され、観光客は激減した。温泉宿泊施設の廃業やキャンプ場の廃止・休業が相次ぎ、経済的には頭の痛い状態が続いている」
 市や観光業者らでつくる栗駒山観光協会の炭屋一夫会長(第三セクター・ゆめぐり社長)の表情はさえない。宿泊施設に納入していた地元産の野菜や養殖イワナの販路は狭まった。さらに東日本大震災の放射能汚染風評被害も追い打ちを掛け、客足は遠のいた。

<ツアーが人気>
 反転攻勢を目指す市は、栗駒山麓の大規模地滑りなどを防災学習や学術研究に活用しようと、専門機関からジオパーク(地形や地質を生かした自然公園)の認定を受けた。
 認定範囲は市全域。地滑り地形や、ラムサール条約湿地の伊豆沼・内沼などを巡りながら栗原の歴史や文化を知る「ジオツアー」の人気はじわじわ広がりつつある。市の担当者は「ジオパーク関連の観光客は年間数万人増えている。活路を見いだしたい」と意気込む。
 東日本大震災前は年間27万人の観光客を数えた登米市登米(とよま)町の「みやぎの明治村」。白壁の塀が続く通りには土蔵や武家屋敷、明治期の洋風建築が並び、全国から観光バスで大勢のツアー客が訪れた。
 しかし、震災により国指定重要文化財である教育資料館(旧登米(とよま)高等尋常小学校)などが一時、修復のため一般公開を見送ったこともあり、観光ツアーや修学旅行のルートから外れて客足は低落。昨年の観光客数は10万人にとどまった。

<インスタ映え>
 地元のみそ・しょうゆ製造8代目で、郷土食の油麩(あぶらふ)丼PRや、訪日外国人旅行者(インバウンド)を呼び込む仕掛けづくりに取り組む海老名康和さん(53)は「観光客が来ないと商店主らの士気が上がらない」と語る。震災前の水準に戻すのが当面の目標という。
 内陸地震と東日本大震災が登米、栗原の観光に与えた影響は大きい。だが、観光地そのものが無くなってしまったわけではない。
 観光に詳しい宮城学院女子大の宮原育子教授は「登米と栗原には観光に値する文化や歴史がある」と強調する一方で、「観光情報は既存の情報誌ではなくスマートフォンで得る傾向が強まっている」と話す。
 若い世代を中心に写真共有アプリのインスタグラムを見て旅行先を決める人もいることを挙げながら、「インスタ映えは観光のキーワードになる。関係者はその辺を理解した上で観光PRやルートづくりに努めるべきだ」と指摘する。


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2017年11月26日日曜日


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