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<脱埋没への模索 どうする登米・栗原>第1部 産業経済(4)6次産業化(上)/小規模な挑戦 後押し

米粉の製粉作業に当たる佐藤さん

 宮城県の登米、栗原両市の基幹産業は農業だ。国が調査した2015年の推定農業産出額は登米が296億円と県内1位、栗原207億円で3位を誇る。そのうちコメの産出額は登米104億円、栗原93億円で、10年前の05年と比べ登米は30%、栗原は26%それぞれ減少している。
 「コメの消費量減少と価格低迷、後継者不足、輸入物との競争など農業の取り巻く環境は厳しい」と両市は先細りを予測。共に持続可能な農業を目指し、1次産業の農家が加工(2次)、販売(3次)も行う「6次産業化」の啓発を推進施策の一つに掲げる。

<米粉でケーキ>
 栗原市は16年度から6次産業化農業者育成塾を開く。商品パッケージデザインをテーマにした7日の講座には市内の10人が参加した。「ブルーベリーの販路を開拓したい」「農業で収益を上げるために勉強中」などの理由が挙がる。
 受講した同市一迫の佐藤真永さん(36)は10月に米粉を使った「グルテンフリー」のパウンドケーキなどの製造を始め、市内の直売所と病院の売店に卸す。製粉機などは市の補助で購入し、「少ない経費で始められた」という。
 佐藤さんは市内の農家に生まれ、東京の大学に進学後、英語塾講師などを経て11年にUターンした。実家の農業を継ぐのは将来に不安があったものの、古里での職種はそう多くない。
 「今ある環境を生かそう」と決意。学生時代に飲食店のアルバイトで培った調理技術、両親と作るコメを生かして米粉ケーキを製造・販売する道を見つけた。
 「やりがいがある半面、売れないかもしれないという不安もある。勉強するしかない」と仕事をこなす。

<弁当手掛ける>
 同市志波姫の相馬宏さん(56)、優子さん(56)夫妻は7月から、生産したコメと野菜を使った弁当を販売する。1992年以降、コメの産直販売を手掛けるが、客の高齢化とともに売り上げは減少。「コメの価格が低迷し、生産だけでは厳しい」と説明する。
 優子さんは介護ヘルパーの経験があり、お年寄りだけの世帯が多い地域の実情を踏まえ、高齢者向け宅配弁当事業の展開も目指す。受注数は1日50個が限界だが、多くの利益は求めず、「地域の人においしいと喜ばれればいい」とゆったりと取り組む。
 国認定の6次産業化の農家は登米14人、栗原4人。国の認定を受けずに6次産業化を進める農家はさらに多く、小規模農家の支援は両市が担う。
 「国の支援対象は大規模な農業法人など。市としてはこぢんまりとした農家を支えたい」と栗原市6次産業推進室。「売り上げ目標をあまり高くせずに始めてほしい」と多くの農家の挑戦を後押しする。


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2017年11月27日月曜日


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