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<平昌への道>日本の「滑り」下支え 仙台のワックス製造会社 海外巡り最適の配合

ガリウムの工場でワックスを型枠に流し込むスタッフ

 スキーワックス製造のガリウム(仙台市泉区)が、平昌冬季五輪で日本チームに提供する製品の開発を進めている。国内外の大会でテストを重ねて滑りの良さを追究。日本チームを縁の下で支え、メダルの行方にも少なからず影響を与える。
 同社のワックスは通常のフッ素とパラフィンに、半導体の材料にもなるガリウムを加える。ごみが付着しにくく、はっ水性が高いのが特長。スキー板と雪面との摩擦も小さい。独自の調合法や配合比率で造られた製品は、海外からも注文を受けるほど高性能だ。
 ワックスは雪の温度や湿度、硬さによって原料の配合を変える。ワールドカップ(W杯)や世界選手権を巡ってデータを採り、コース条件に合ったワックスを模索してきた。平昌にもスタッフを3度派遣してデータを採取。五輪に最適な製品を開発中だ。
 同社は1994年設立。国内シェアの8割を北欧などの海外製品が占める時代で、当初スタッフは3人しかいなかった。
 地道に研究を続けて耐久性や利便性に優れた製品を開発。2009年世界選手権複合団体で同社製品を使った日本が優勝し、世界に認知されるようになった。現在スタッフは18人。シェアは大手海外メーカーと渡り合うまでに成長した。
 結城谷行社長(57)は1988年カルガリー五輪距離代表も務めた元選手。結城社長は「スキー競技は道具で勝負の6割が決まる」と言い切る。ワックス性能によって、ジャンプなら助走速度を1キロ上げ、飛距離を3〜5メートル伸ばせる。距離は体力消耗を抑え、後半のスパートにつなげられるという。
 五輪では日本チームの技術スタッフがその日のコース条件などを考慮した上で、国内外のメーカー数社から使用するワックスを選ぶ。自信を持って提供した商品でも、実際に使われるかどうかは分からない。結城社長は「シビアな世界。段違いの滑りを提供し、日本代表を表彰台に立たせたい」と情熱を注いでいる。


2017年12月02日土曜日


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