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宮城名物「仙台セリ鍋」主役じわり他県産 増産困難で品薄、高止まり

「こうめ」の仙台セリ鍋は生産者から直接仕入れたセリを使っている=仙台市青葉区立町
仙台セリを収穫する今野さん。ほとんどが手作業で効率化は難しい=名取市

 「仙台セリ鍋」ブームの影響で、「仙台セリ」などの名称で販売される宮城県産セリの価格が高止まりしている。市場価格は東日本大震災前の2.5倍にはね上がった。背景には生産者の高齢化と担い手不足があり、生産量は何とか横ばいを保っているのが現状だ。地元産が品薄になる中、主役の座を他県産に奪われる恐れも出てきた。
 仙台市中央卸売市場の1日のセリの取引値は100グラム当たり216円。昨年の平均159円を上回った。
 仙台セリ鍋の人気に火が付いたのは震災後。「復興グルメ」として注目され、「根っこがおいしい」と各種メディアがこぞって取り上げた。仙台市内の飲食店や居酒屋のメニューにも急速に浸透。並行してセリの市場価格は震災前の87円(2010年)から急上昇した(グラフ)。
 一方、宮城県内の収穫量は年450トン前後で横ばいが続く。今年は10月の台風の影響で収量が減り、正月需要の高まる年末に「400円近くまで上がる」と予測する市場関係者もいる。
 一連のブームは生産者の高齢化と後継者難を浮き彫りにした。県産セリの7割を生産する名取市。同市の上余田芹(せり)出荷組合は組合員の平均年齢が60歳弱で、近年の新規就農はわずか1人という。組合長の今野幹男さん(62)は「後継者のいない高齢の組合員がいる。ほとんど手作業で、効率化も難しい」と生産量拡大の厳しさを訴える。
 仙台セリを安定して確保するため、青葉区立町の居酒屋「こうめ」は、セリ鍋を始めた昨年から生産者と直接取引している。店主の佐々木宗治さん(44)は「市場を通さないので鮮度が高く、味も濃い」と利点を説明する。
 県産セリの供給不足は小売店などで表面化する。仙台市のスーパーには、秋田や山形、茨城のセリが並ぶ。昨年から「せり鍋」の総菜販売を始めたコンビニ大手のローソンも、地元産セリの安定確保を見通せず、「宮城県産セリ使用」の表記を見送った。
 人気を受け、県内では新たに生産に乗りだす地域も出ている。ただ、栽培には豊富な地下水と独特の技術が必要で、「1、2年で生産量を増やすのは難しい」(全農県本部)という。

[仙台セリ]約400年前の江戸時代初期から名取地域で盛んに栽培されるようになった伝統野菜。宮城県のセリの収穫量は全国1位(2014年)で主産地は名取市、石巻市河北町。主に水耕栽培で9月頃から店頭に並び、4月いっぱいまで楽しめる。2〜4月に香り、甘みが最も強くなり旬を迎える。


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2017年12月03日日曜日


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