宮城のニュース

<不妊手術強制>宮城の60代女性が全国初の提訴へ「法律の犠牲となったことへの謝罪と補償を」

強制不妊手術を巡る厚生労働省との面談時の記者会見で、国に謝罪と補償を求める原告女性の義姉=9月26日、東京・永田町の参院議員会館

 旧優生保護法に基づき、国が知的障害などを理由に不妊手術を強制したのは個人の尊厳や自己決定権を保障する憲法に違反するとして、宮城県の60代女性が来年1月中旬にも、国に損害賠償と謝罪を求める全国初の訴訟を仙台地裁に起こすことが3日、分かった。

 女性の義姉や代理人弁護士によると、女性には重度の知的障害があり、15歳だった1972年12月に県北の病院で、卵管を縛って妊娠できなくする手術を強制された。女性は手術後、日常的に腹痛を覚えるようになり、卵巣膿腫を患って右卵巣を摘出した。
 県が今年7月、女性側に開示した当時の「優生手術台帳」では、手術の理由は「遺伝性精神薄弱」とされた。女性側は「子どもを産む、産まないを決める幸福追求権は憲法13条が保障する。障害者は尊厳を持って生きている。国は謝罪と補償により、社会の価値観を変えるべきだ」と主張している。
 旧優生保護法下で、本人の同意なしで実施された不妊手術は全国で約1万6500件に上る。強制不妊手術を巡り、日弁連は県内の70代女性が2015年にした人権救済申請を受けて今年2月、国に謝罪と補償を求める意見書を提出。国連女子差別撤廃委員会も16年、国に補償を勧告した。
 提訴は手術から45年経過後となり、不法行為から20年間、賠償請求しないと権利が消滅する民法の除斥期間が大きな争点となる。
 代理人の新里宏二弁護士(仙台弁護士会)は「意見書や勧告を受けながら措置を講じなかったのは国の不作為。除斥期間の適用は信義則に反する」と指摘する。
 義姉はこれまでの取材に「義妹と同じ障害がある家族はおらず、遺伝性の判断は疑問。障害は1歳時の手術で麻酔が効き過ぎたためだ。15歳の若さで、親も同意していない手術をさせられたことは納得できない。国は法律の犠牲となったことへの謝罪と補償をしてほしい」と話した。

[優生保護法] 「不良な子孫の出生防止」を目的に1948年に施行された。4条は遺伝性疾患を持つ患者に、都道府県設置の審査会が認めれば本人の同意なく不妊手術ができると規定。12条は知的障害など遺伝性疾患以外の患者にも、保護者の同意と審査会の決定があれば手術ができるとした。宮城県では母体保護法に改定された96年まで、本人同意のない不妊手術が約1400件実施された。全国では北海道の約2500件に次いで多い。


関連ページ: 宮城 社会

2017年12月04日月曜日


先頭に戻る