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<ニュース深掘り>山形大パワハラ疑惑 情報開示軽視変わらず

職員組合が公表した書き置きなどの画像。センター長の手書きとみられる文字で「役立たず」「ボケが!!」などと書き殴られていた

 山形大xEV飯豊研究センター(山形県飯豊町)のパワハラ疑惑で、同大が11月、ようやく調査に乗り出す方針を表明した。疑惑発覚から1カ月余り。センター長の男性教授が職員の机に残したとされる侮辱的な書き置きの画像が公開され、重い腰を上げた。真相究明と情報開示に消極的な大学の姿勢は、アカデミックハラスメント(アカハラ)を受け、工学部生が自殺した問題でも批判を浴びた。真摯(しんし)な調査ができるのか、大学の自浄能力が問われている。
 「報道で初めて見て驚いた。センター長の筆跡なら大変なことだ」
 小山清人学長は11月15日の定例記者会見で、同大職員組合が公表した書き置きなどの画像について、こう述べた上で、学内規程に基づき特別対策委員会を設置したことを明らかにした。
 職員組合が公表した画像は4枚。いずれもセンター長によるパワハラを訴えて退職した職員の机に残されていたとされ、それぞれ「役立たず」「ボケが!!」などと書き殴られていた。
 疑惑が報じられた直後の10月初旬、小山学長は定例記者会見で「パワハラがあれば処分している。処分はしておらず、パワハラとしては把握していない」と曖昧な説明をして、記者たちの質問をかわしていた。
 今回表明した調査の方針も、決定的な「証拠写真」を突き付けられ、追い詰められた末の苦し紛れとの疑念が付きまとう。
 センターを退職した職員らから相談を受けた職員組合は、既に5月には小山学長宛ての質問書で「一方的な非難や侮辱的な言動が執拗(しつよう)に行われている」として「深刻なパワハラが常態化していたことは疑いの余地がない」と指摘していた。
 この段階で組合の訴えを正面から受け止めて事実確認をしていれば、これほど教職員や学生、地域社会の不信を招かずに済んだはずだ。
 外部の声に対する感度の鈍さと情報開示を軽視する体質は、工学部の男子学生が2015年11月、指導教員の助教によるアカハラを苦に自殺した問題でもあらわになったばかりだ。
 大学が設置した第三者調査委員会は16年6月、アカハラと自殺の因果関係を認める報告書を作成。助教は16年10月に研究室内でのアカハラを理由に停職1カ月の処分を受けた。
 ところが、大学は助教に対する懲戒処分の発表時に男子学生の自殺を公表していなかった。問題が表面化したのは、学生の遺族が損害賠償訴訟を起こした後のこと。調査委の報告書も現在に至るまで明らかにしていない。
 今回のパワハラ疑惑調査で、特別対策委は18年1月をめどに大学側に結果を報告する。大学はこれまで委員の構成について説明を拒んできたが、調査の透明性の確保などを文書で求めてきた職員組合の意向を酌み、複数の学外専門家を委員に加える考えを示した。
 疑惑の現場となった飯豊研究センターは、国内最先端のリチウムイオン電池の研究開発拠点として産業界から注目されている。それだけに、信頼回復につながる誠実な調査を期待したい。(山形総局・吉川ルノ)

[山形大パワハラ疑惑]リチウムイオン電池の研究開発拠点「山形大xEV飯豊研究センター」(山形県飯豊町)の職員3人が今年3〜5月、センター長の男性教授からパワハラを受けたとして相次いで退職した。複数の職員から被害相談を受けた同大職員組合は5月以降、3回にわたり、学長宛てに実態を把握しているかどうかを問う質問書を提出した。センターは16年5月に開所。自動車、ロボット関連企業など約50社が研究開発に加わっている。


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2017年12月04日月曜日


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