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<東日本大震災>被災者の暮らしの記憶後世に 仮設住宅展示へ

2戸を移設展示する予定の中央工業団地仮設住宅=今年3月

 東日本大震災で被災した宮城県亘理町で、実際に使われたプレハブ仮設住宅を展示する計画が進んでいる。町を支援するNPO法人セリアの会(東京)が企画。被災者の生活の記憶を伝える建築物として、手を加えずに移設する。仮設住宅の展示例は2004年に中越地震が起きた新潟県であり、震災の被災地では先駆的な取り組みになる。
 移設展示するのは、江下地区の中央工業団地仮設住宅にある2DK(約30平方メートル)2戸。仮設住宅が今春解消された町で6年近く使われ、既に県から譲渡されている。
 セリアの会は町の協力で荒浜地区に被災住民ら向けの交流・研修施設の建設を計画しており、その敷地内に2戸を本年度内に移設する。移設後は住宅内部を見学できるようにし、施設を訪れた人が語り合う場にもする。
 セリアの会理事長で、イスラエル系インドネシア人の音楽家セリア・ダンケルマンさん(東京都)は震災直後から亘理町に支援に入り、仮設住宅で表現活動を通じた心のケアや、保育施設で教育支援に当たっている。鉄筋2階の交流・研修施設は来年度に着工する予定で、敷地は町から無償で借りる見通し。
 ダンケルマンさんは町民との対話を通じ、仮設住宅での暮らしも被災者の貴重な足跡だと感じたという。「狭さや音が伝わりやすい仮設住宅の構造だけでなく、災害公営住宅と違ってコミュニケーションを取りやすかった状況なども伝えたい」と語る。
 東北大災害科学国際研究所の佐藤翔輔准教授は「仮設住宅は、災害への対応過程を示してくれる重要な物。経験や記憶を伝える実物を見ることは学びにつながるので、取り組みに注目したい」と話す。


2017年12月08日金曜日


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