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<天皇退位>「いたわり、感謝厚く」東北のゆかりのある人々思い寄せる

北原尾地区の開拓記念碑前で工藤さん(右端)に案内される天皇、皇后両陛下=2015年6月17日
両陛下訪問時の写真を手に、感謝の思いを語る大橋さん=仙台市若林区

 天皇陛下の退位日が2019年4月30日に正式決定した8日、東北のゆかりのある人々は改めて、長年の務めを終えることに、いたわりの思いを寄せた。戦火をくぐり抜け、戦後苦労を重ねた引き揚げ者、東日本大震災で傷ついた人々を慰めてきた両陛下。その心遣いや言葉は多くの人の胸に刻まれた。

◎宮城・蔵王「北のパラオ」万感の思い忘れぬ

 天皇、皇后両陛下は戦後70年の2015年6月、宮城県蔵王町の北原尾地区を訪問された。激戦地パラオからの引き揚げ者が苦労して蔵王山麓の原野を切り開いた地。出迎えた「北のパラオ」の住民は、当時の万感の思いを今も忘れない。
 案内役を務めた北原尾農事組合長の工藤静雄さん(75)の自宅玄関に、ほほ笑む両陛下と納まった写真が飾られている。
 「まだまだ元気そうだったので、退位の報道を聞いて驚いた。少し公務を減らして続けられるものだと…」と惜しんだ。
 1946年春に32世帯が入植。工藤さんはパラオで生まれ、生後間もない妹を亡くした。パラオ時代を知る住民は6人になった。
 「戦争犠牲者の慰霊に取り組み、心の中で一区切り付いたのかもしれない。退位後は気を休めて、長生きしてもらいたい」
 両陛下を出迎えた住民の一人、佐崎美加子さん(85)は「自分も同じぐらいの年だから大変だなと思っていた。退位後、少しは気を楽にして暮らせるのではないか」とおもんぱかった。
 5歳の時に北海道から家族5人でパラオに渡り、14歳で北原尾に。両陛下には、パラオで空襲に遭った際の体験などを話した。
 「こんな遠い山の中まで来てもらえてうれしかった。元気で過ごしていただければそれでいい」と話す。

◎被災3県 復興へお言葉励み

 「『村民のために頑張ってください』と掛けられた言葉が今も心に残っている」
 福島県葛尾村の食堂経営石井一夫さん(61)は昨年3月、避難先の福島県三春町を訪れた両陛下との懇談を振り返り、感謝する。
 村は昨年6月、東京電力福島第1原発事故に伴う避難指示が一部を除き解除され、石井さんは村内に新築した店舗で今年7月に営業を再開した。陛下の言葉は「まだまだ自分も頑張らなくては、という励みになっている」と強調する。
 津波で被害を受けた岩手県野田村で松林の再生などに取り組む市民団体「のだ千年の松」の坂本久美子さん(59)は昨年12月、皇居の勤労奉仕に参加し、両陛下に面会。被災したメンバーらをねぎらう両陛下の姿が印象に残る。「被災地に寄せられたお気持ちを希望のともしびとし、復興を遂げたい」と誓う。
 「先が見えず不安だった時、親身に励ましていただいた」と振り返るのは、仙台市若林区の災害公営住宅で暮らす無職大橋公雄さん(74)。若林区荒浜の自宅が津波で全壊し入居した仮設住宅で2012年5月、両陛下の訪問を受けた。
 町内会長だった大橋さんは陛下に「皆さんのために頑張って」と激励され、支えとしてきた。「震災後、大変なスケジュールだったと思う。ゆっくり疲れを癒やしてほしい」と願う。


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2017年12月09日土曜日


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