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<東北の本棚>三鉄が舞台の青春群像

鉄道ダンシ 鉄道ダンシ製作委員会・衣南かのん 著

 岩手県沿岸を走る三陸鉄道(宮古市)を舞台に、東日本大震災の被災地に寄せる複雑な思いを織り交ぜ、地域に生きる若者の青春群像を描いたライトノベル。
 同社をPRするイラストキャラクターの設定を基に全国から作品を募り、最優秀作を書籍化した。
 主人公は、共に震災翌年に三陸鉄道に入社した恋し浜レン、田野畑ユウの2人。好対照な個性を持つレンとユウの掛け合いや彼らを取り巻く人物との日常的な関わりを基に、若者ならではの友情や恋心、エネルギーを活写している。
 「見たくなくて、何もなかったことにしたくて…」
 「あれだけ怖かったのに、こうして来たらやっぱり懐かしくて落ち着く」
 震災にまつわる心象は、進学や就職で上京し、郷里を離れた女性の視点を通して表現した。
 ストーリー展開のテンポが良く、一気に読み進められる。巧みな心理描写が若さへの共感を誘う。
 著者は1988年釜石市生まれ。千葉県船橋市在住。桜美林大リベラルアーツ学群卒。2011年から女性向けゲームのシナリオを中心に、執筆活動に当たっている。
 長編小説の発表は今作が初めて。「被災地というくくりでなく、大好きな場所を見てほしいという思いで書いた」と話す。
 創藝社03(4500)2406=1296円。


2017年12月10日日曜日


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