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<減反廃止>新たなコメ需給調整の議論急ピッチ 交付金継続に懸念も

 2018年産米から国による生産調整(減反)が廃止されるのを控え、新たな需給調整の仕組みを巡る議論が急ピッチで進む。政府、与党は農協グループを中心とした民間主導の需給マッチング組織への支援を決め、11月末には需要に見合った適正生産量を17年産生産数量目標と同量の735万トンに設定した。約半世紀続いた需給調整システムの変革で東北などの米どころが混乱しないよう、関係者は入念な準備を進める。
 「国による配分はなくなるが需給バランスが崩れれば価格が崩れる。自治体の役割が本当に重要になる」
 適正生産量を公表した翌日の12月1日、農林水産省に集まった都道府県の担当者に上月良祐農水政務官が繰り返した。
 全国ベースでは15年産から3年連続して生産数量目標を達成。主食用米の需給は引き締まり、米価は上昇基調にある。それでも、上月氏はあえて過剰作付けが目立つ新潟、茨城、千葉の3県を名指しし、都道府県単位で需給調整に取り組む必要性を念押しした。
 「需要に見合った供給が必要。消費者にも安定した価格で提供できる」。全国農業協同組合中央会(全中)の中家徹会長は7日の定例記者会見で、卸売りなどの事業者団体と共に年内にも設立する「全国組織」の意義を改めて説明した。
 政府、与党は組織が備えるべき機能として、近年不足する中食・外食用米の需給のマッチングを重要視する。農水省はこの取り組みに財政支援をするが、生産者の経営判断を重視する立場から構成メンバーには入らない。需給調整の主体は国から民間に移る。
 農水省、産地ともに主食用米の作り過ぎを防ぐための交付金が継続されるかどうかを最も懸念する。現在、飼料用米への転作が進む原動力は生産者に支払われる10アール当たり最大10万5000円の水田活用の直接支払い交付金だが、財務省の審議会は「収益性の高い野菜の生産を支援すべきだ」とやり玉に挙げる。
 自民党は11月末の党会合で、飼料用米の本作化に向けた恒久的な予算確保を政府に求めることで一致した。ある東北選出議員は「この政策なしに需給バランスを取るのは難しい。食料安保の観点からも水田を守る必要がある」と指摘する。
 17年産まで減反参加農家に支払われ、18年産からなくなる10アール当たり7500円のコメの直接支払い交付金の代替措置も焦点だが、明確な結論は出ていない。全中水田農業対策委員会副委員長を務める高橋正宮城県農協中央会長は「コメ農家の所得として配分されていた。今後も農家の所得確保に生かしてほしい」と不満をにじませる。


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2017年12月12日火曜日


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