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<オトナの工場見学>もろみの甘い香り漂う

もろみが入った仕込みタンクを見守る大滝さん

 ものづくりやさまざまな事業を担う工場の見学は子どもたちだけのものじゃない。大人が思わず行きたくなる工場を宮城県内で探した。

(12)蔵王酒造(白石)

 年の瀬を迎え、杯を交わす機会が増える今日この頃。各地の多彩な日本酒を飲み比べるのも楽しい。コメ、米こうじ、水。シンプルな原料が生み出す奥深い世界をのぞきたくて宮城県白石市東小路の蔵王酒造を訪ねた。
 1873年創業の老舗で出迎えてくれたのは、杜氏(とうじ)の大滝真也さん(30)。酒造りは今が最盛期で、早朝からの仕込み作業を終えたばかり。南部杜氏に委ねたかつてと違い、今は製造部の社員が中心となり、精米から仕込み、出荷までを一貫して担う。
 重厚な石蔵に並ぶ仕込みタンク。発酵を重ね、もろみの甘い香りが漂う。プチプチプチ。酵母とこうじ菌が働く。「酒を造るのは微生物。働きやすいように環境を整えるのが蔵人の仕事です」。いかに科学技術が進もうとも、仕込み方は江戸時代から引き継がれる。
 吟醸や純米など酒質に応じてコメの水分を秒単位で加減する浸漬(しんせき)、味わいを決める火入れのタイミングや冷蔵庫での細心の温度管理…。玄米から酒になる1カ月半から2カ月の工程がつまびらかになっていく。
 軟水の蔵王連峰の伏流水が、キレとすっきりした飲み口を生む。「気付くとそばにあり、杯が勝手に進んでしまう。そんな酒を目指しています」と大滝さん。
 蔵人と微生物の生命のドラマに思いをはせ、さあ一献。(村上俊)

◎ここも楽しみ!

 徒歩での訪問がおすすめ。敷地内の展示館で、多様な銘酒を試飲できる。酒蔵見学中もタイミングが合えば、搾りたてを味わえる。

[蔵王酒造]宮城県白石市東小路120の1。酒蔵見学は日曜、祝日と第2、第4土曜日を除く仕込み作業終了後の午後1〜4時に対応。希望日の1週間前までに電話で申し込む。参加無料で10人以内。JR白石駅から徒歩8分ほど。連絡先は0224(25)3355。


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2017年12月13日水曜日


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