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<オトナの工場見学>手間暇かけ命吹き込む

来年のえと、戌の人形に色を付ける芳賀さん
来年のえと、戌の人形に色を付ける芳賀さん

 ものづくりやさまざまな事業を担う工場の見学は子どもたちだけのものじゃない。大人が思わず行きたくなる工場を宮城県内で探した。

(13)つゝみ人形製造所 仙台

 展示スペースを抜けて奥の扉を開けると、乾いた土の匂いがした。板敷きの作業場には黒ずんだ仙台箪笥(たんす)が並ぶ。天井近くの壁の看板にかすれた緑色で「つゝみ人形製造所」とある。店内の空気が、300年超の歴史をたたえる。
 「私は初代から数えて13代目になります」。堤人形職人の芳賀強さん(76)が工程を説明してくれた。仙台で生まれた土人形。宮城県の伝統工芸品に指定された。約40年前に父親が亡くなり、今は1人で人形を作る。
 石こうの型に粘土を入れて作った人形の原型は約1週間、乾燥させる。窯で焼くこと15時間。表面が滑らかなのは、下塗りを3〜5回繰り返すからだ。多種多彩な筆で鮮やかに色を塗り上げ、人形に命を吹き込む。
 完成まで1カ月。完全受注生産だ。丸みを帯びた愛らしい人形が手元に届くまで時間はかかるが、工程を見れば納得だろう。
 芳賀さんは「作業を見てくれた人にこそ、人形を買ってほしい。穏やかな気持ちになってもらえれば職人冥利(みょうり)に尽きる」と言う。
 来年のえと、戌(いぬ)の人形を黙々と作り続ける芳賀さん。その背中を見て、新人の自分も手間暇かけた取材と執筆を心掛けようと誓った。(八巻愛知)

◎ここも楽しみ!

 所内では江戸時代に作られた人形も展示する。色が落ち、黒ずむ人形もまた乙なもの。堤人形の歴史の長さを感じることができる。

[つゝみ人形製造所]仙台市青葉区堤町3の30の10。来店や見学は月−土曜日午前9時〜午後6時(正午から1時間半は昼休み)。日曜日と祝日は定休。作業所の見学希望は事前連絡が必要。体験は受け付けていない。連絡先は022(275)1133。


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2017年12月14日木曜日


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