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<週刊せんだい>シニア世代の移動手段(2)バス路線不便さ際立つ 地下鉄東西線の影響

屋内待合室設置を望む声も上がる東西線薬師堂駅のバス乗り場。右端が地下鉄口=仙台市若林区
乗り継ぎ時間を生かせる商業施設が少ない東西線八木山動物公園駅付近=仙台市太白区
乗り継ぎ時間の設定などに課題が残る「バスのりつぎ時刻表」

◎中心部直行できず 乗り継ぎもネック

 2015年12月、仙台市地下鉄東西線の開業に伴い、沿線の市バス路線が大規模に再編された。利用促進をもくろみ、バス乗客を地下鉄に一律誘導する方策は高齢者の外出をかえって遠ざける結果を招いている。

<30分待ち時間発生>
  「2年がたち、街中に繰り出す機会がすっかり減ってしまった」。若林区沖野の無職菊地享子さん(83)がため息をつく。
 近くのバス停から市バスで真っすぐ中心部に出掛け、同世代の友人と音楽や食事を楽しんできた。だが、慣れ親しんだ路線が薬師堂駅行きになり、地下鉄への乗り継ぎを強いられるようになった。

 帰り道、薬師堂駅のバス乗り場で30分前後の待ち時間が生じることがある。寒空の下、風邪などひいたらたまらない。思わずタクシーに乗り込む。「年金暮らしでの出費は手痛いし、家にこもりがちになれば今度は健康を損ねてしまう」

 丘陵地にある太白区緑ケ丘3丁目から中心部まで直行していた「緑ケ丘線」は大半がルート途中の八木山動物公園駅行きになった。3キロほどの区間を走るバスは空席が目立つ。緑ケ丘の主婦三品悦子さん(72)は「路線が寸断され、買い物や通院に使いづらくなった。八木山動物公園駅周辺は店が少なく、乗り継ぎ時間の活用も難しい」と指摘する。

 市バス事業は昨年度、全46路線の営業係数=?=が100を超え、赤字となった。市交通局は来年春から段階的に減便する方針を示す。

<遠回り変則ルート>
  若林区若林の無職加藤武彦さん(80)が利用するバス停は、薬師堂駅行きがほとんどになった。中心部に向かう路線は平日だけ1日5便残るものの、方角の異なる薬師堂駅まで遠回りし、若林区役所前を2度通る変則ルート=図=。以前より20分ほど余計にかかってしまう。
 加藤さんは中心部に直行するルートの復活を要望する。「利便性を検証しないまま、減便ありきで進められては困る。地下鉄を優先するあまり、乗り継ぎが大変な高齢者の暮らしを軽視してはいないだろうか」
 市交通局も策を講じてはいる。地下鉄からバスへの接続便を案内する「バスのりつぎ時刻表」(八木山動物公園、薬師堂、荒井の3駅)を作って4月から3駅に配置した。時刻表は乗り継ぎに要する時間に5分を見込む。だが、地下鉄やエスカレーターの混み具合、エレベーターのタイミングに左右されるため、足腰が弱る高齢者にはもっと余裕が必要で、厳しい設定になっている。
 「高齢者が気軽に外出できる環境を整えてこそ、公共交通の役目と言えるはず」。3人の切実な思いだ。

[営業係数] 100円の収入を得るのに要する費用を示す指数。主に鉄道やバス路線の経営効率を表す。100を下回れば黒字、上回れば赤字。仙台市若林区などを運行する市バス「大和町線」は2014年度は89と、同年度で唯一の黒字路線だったが、市地下鉄東西線開業に伴う路線再編後の16年度は338に悪化した。


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2017年12月14日木曜日


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