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<集団移転>厳しい条件クリアして再建したのに…空き区画にアパート計画 人口減対策急ぐ町と不公平感抱く住民、溝深まる

空き区画にアパート建設が計画されている志津川中央団地

 東日本大震災で被災した宮城県南三陸町の防災集団移転促進事業で造成した団地の一般開放を巡り、団地住民から「説明不足だ」と不満の声が上がっている。造成を終えてから1年をたたずして、空き区画に賃貸アパートや従業員用宿舎が建つことが決まったためだ。人口減対策を急ぐ町と不公平感を抱く住民との間で溝が深まっている。

 町内の防災集団移転団地は昨年12月、827区画の造成が完了。造成途中に辞退者が出て113区画の空きが生じた。今年9月から移住・定住希望者、従業員寄宿舎や賃貸アパートを建設する個人や事業者にも対象を広げて募集している。
 町は志津川中央、志津川東の両団地で、隣り合う2区画が空いていた3カ所を寄宿舎・アパート建設地として指定し、11月に事業者を決めた。同月下旬になって初めて区画を隣り合わせる住民に電話で説明し、アパートを建てることが明らかになった。
 防災集団移転促進事業は、被災者が住む一戸建てを前提に宅地を造成。面積や建坪が制限され、親類でさえ隣同士で住めないといった厳しい決まり事があった。集合住宅の建設で2区画を使うことに対する不公平感や治安の悪化を懸念する声が広がる。
 特に中央団地は小学校や大型スーパーが近く、利便性が高い。同団地の住民約20人は6日、町役場を訪れ、「住宅再建を迷っている町民もいる。時期尚早だ」「寄宿舎の入居者に地域のルールを守ってもらえるか心配だ」などと訴えた。
 町は津波で被災した志津川地区の旧市街地約60ヘクタールを、住宅が建てられない災害危険区域に指定した上で区画整理事業を実施。町内は住宅を建設できる土地が少なく、町は防災集団移転団地の空き区画を活用して産業の人手不足の解消を図っていく考えだ。
 佐藤仁町長は7日の町議会12月定例会の一般質問で、「町民にとって唐突感はあっただろう。しっかりと説明し、同意を得なければならない」と答弁した。町は団地の住民を対象に説明会を開催する予定。
 中央団地を巡っては昨年6月、擁壁土台に不具合が見つかり、土地の引き渡しが遅れた。同団地に住む男性(66)は「工事のやり直しを経て、ようやく家が建ったところだ。いつになったら落ち着けるのか」といら立ちを隠さない。


2017年12月15日金曜日


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