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<回顧17みやぎ>(2)鳥インフルエンザ発生/教訓生かし改善急ぐ

防疫演習で籠に入ったニワトリの捕獲訓練をする県職員=11月、仙台市宮城野区

 東日本大震災から7度目の年越しを迎える。復興へと地道な歩みを重ねた2017年。被災地を置き去りにした解散風が吹き、大型選挙が相次いだ。学校現場では再び尊い命が失われ、問題の根深さが浮き彫りとなった。県内であった出来事を記者が振り返る。

 「改善すべき点が多かった」との回答は、83%にも達した。県職員約1300人から寄せられたアンケート結果の数字が、現場の混乱ぶりや手順の難しさを物語る。
 栗原市の養鶏場で今年3月、高病原性鳥インフルエンザが発生した。県内で確認された家禽(かきん)への感染は初めて。ニワトリの殺処分など、県は経験したことがない防疫措置を迫られた。
 「暖房器具がなく、寒さは厳しい」「空腹のまま、夜通し作業を続けた」「防護服を着ているため、指示の声が聞こえない」
 防疫措置は、国が指針で示す72時間以内に何とか完了したが、作業過程では資材や埋却場所の不足、人員配置などさまざまな困難に直面した。特に課題となったのは対策本部と現場との情報のやりとりだった。
 アンケートでも「指揮命令系統が不明瞭」など、情報や指示、報告に関する指摘は多く、12月7日に仙台市内であった県の情報連絡会議で、農林水産部の担当者は「現場で情報が混乱し、対策本部が把握できず、指示が滞った」と分析した。
 県は今回の経験を踏まえて対応マニュアルを見直し、情報分析班を新設。現場で作業の進み具合を把握し、写真撮影などで情報の収集、共有をより円滑に進めるのが大きな狙いだ。
 11月に仙台市内であった防疫演習では青色の防護服を着て、スマートフォンを構える職員が目を引いた。カメラ機能のシャッターを対策本部で遠隔操作し、撮影した画像を各地で共有するシステムを試した。
 防護服や手袋を着用しながら操作できるのか、スマートフォンを養鶏場に持ち込めるのか、深夜にリース機材を迅速に確保できるのか−など課題は多く、県は引き続き検討を進める。
 今年も鳥インフルエンザのシーズンを迎えた。未然に防ぐ対策を講じることが大切だが、発生時に問われるのは、事前の準備や現場への対応力など行政の危機管理意識そのものだ。
 計画を立て、訓練・実行し、検証を重ねて改善する。行政の基本動作に終わりはないと改めて感じる取材だった。
(報道部・加藤健太郎)

[メモ]県内初の高病原性鳥インフルエンザは3月24日午前2時40分、遺伝子検査で陽性が確定。栗原市の養鶏場で防疫措置に従事した人数は県職員、自衛隊ら延べ計3617人。ニワトリ22万2290羽が殺処分された。同27日午前2時5分に全ての作業が完了した。


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2017年12月15日金曜日


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